タラテクトの狩り
エリックは、タラテクトを指で突いてみる。
少し体を揺らして、イヤイヤするような仕草をするが、起きて場所を変える事はなかった。
まあいいかと思い、火の始末をして狩りを再開する。
するとある事に気がついた。
虫除けのハーブなど使ってないのに、虫が寄ってこないのだ。
「こいつを警戒してるのかな?」
タラテクトを見ながら1人呟く。
左肩にしっかり掴まっているタラテクト。
いつの間にか目を覚ましていたらしいタラテクトは、お尻から糸を出し、器用に腕で糸を振り回しだした。
そして糸をとある方向に向け投げた。
かなりのスピードで糸が飛んでいくと、そこにはムカデ型の魔物がいて、糸が絡みつく。
糸を引っ張り手繰り寄せ、ムカデ型の魔物に噛り付いた。
「器用なもんだな。そうやって狩りするんだ。」
左肩にムカデ型の魔物を食べている蜘蛛を、そのまま放置しているエリックの神経もどうかしている。
食べ終わると、また糸を引っ張りだし、回して投げた。
スパッっと、空を飛んでいた蜻蛉の魔物が、真っ二つに切れた。落ちた蜻蛉を別の糸で引き寄せる。
「切る糸と、捕まえる糸があるんだ。面白え。」
なんか気に入ったらしい残念吸血鬼。




