剣士
「わかりました。街に戻りましょう。」
震えていた女性が、皆に指示する。
治療が終わり、街に向け歩き出す。
「命の恩人のお名前を伺ってもよろしいですかな?、私は、クロード-アレックスと申します。」
剣士の1人が、エリックに話しかける。
「エリック-ドラクロア。冒険者です。貴方のお名前、脳の端に引っかかるのですが、お聞きしない方がよろしそうですね。聞くとあの方のお名前が、想像できてしまうので。」
震えていた女性の方を見て、エリックが答えた。
「ははは。まあ、そこは察して貰うこととして、改めてお礼を。それと、私も貴方のお名前に聞き覚えがあるのですが、やはり噂通り、いやそれ以上ですな。」
「ロクな噂じゃないでしょう?まあ、まだ子供ですので、失礼が有れば見逃して頂くと嬉しいです。」
「強さは噂以上、人柄は、噂よりも良い人でありますな。聞いた噂だと、一瞬で冒険者を蹴散らした乱暴者というやつでしたがね。」
「絡まれたのでね、なにせ子供だと舐められてしまいますので。」
「でしょうな。素人ならば強さを見抜けないでしょうし。」
「もう少し成長するまでの辛抱かと、ん?!全員、警戒態勢を、魔術士の人、防御魔術展開してください。クロードさんと、剣士の方、前方を警戒、おそらくアースタイガーです。」
「なにっ?!」
慌て魔術士が防御魔術を張り巡らせ、僧侶と女性を守る。
エリックは、胸のナイフを一本抜き、20メートルほど先の藪の中に、ナイフを投げ込む。獣の呻き声と同時に、右目にナイフの刺さったアースタイガーが飛び出してきた。
「1匹なら任せろ!」
剣士2人が走り出した。




