とあるパーティ
朝になり、起きて水魔法により服や身体についた灰や泥、ハーブの汁を洗い流す。
やり方は、頭上に水の玉を形成、そのまま下に降ろし水の玉に、体を入れる。服も着たままでよい。
水の中に水流を作って汚れを落とし、水を地面に落とす。
全身濡れネズミ状態だが、ここでものすごいスピードで、スピンターン。水分を弾き飛ばしてゆく。側から見れば、森の中で踊っている頭のオカシイ人であろうが、誰も居ないので気にしない。だいたい乾いたところで、出来上がりである。多少湿り気はあるが、気になるほどではない。
氷の壁を消して、用意完了である。
さて、今日はどうするかと悩み、森の中を奥では無く、横方向に移動することにする。
多少の魔物と、まあまあの魔獣が居た。アースタイガーばかりだったが。
「飽きたし帰ろ。」
1人呟き、エリックは、街に向け足を運ぶ。
暫く歩くと、微かに悲鳴が聞こえた。エリックの位置から、街の方角に約1キロ。
とりあえず走って向かってみると、アースタイガー2匹に襲われるパーティが居た。
前衛であろう剣士2人が、身体のあちこちから出血しながら、剣を振り回し、魔術士が結界を作り、背後にいる女性2名を護っている。
護られている女性のうち、1人は僧侶のようで、剣士に回復魔法をかけているが、追いつかないようだ。あとの1人は、震えているだけである。
仕方ないと助けにはいることにした。
「そこの剣士2人、後ろに退がれ、俺が撃退する!」
大きな声で剣士に伝えると同時に、アースタイガーの注意をエリックに向けさせる。
剣士2人が、少し退がったと同時に、エリックは腰から短剣二本を逆手に抜き、1匹目をアッサリ首を落として、2匹目の背中に蹴りを入れる。
吹き飛んだアースタイガーが、体勢を立て直し、エリックに飛びかかるが、右手の短剣を鞘に収め、開いたアースタイガーの口にエリックが雷撃を放り込む。
全身を痙攣させてアースタイガーは倒れた。
「そこの僧侶、剣士の回復を。他の人達は大丈夫か?」
エリックは誰となく声をかけてみた。
「ありがとうございます、助かりました。他の者は大丈夫です。剣士が身を呈して防いでくれてましたので。」
「アースタイガーの攻撃を防げるとは、なかなかの腕だが、それでもこんな奥まで来るのは危険だぞ?なんで奥まで来た?」エリックは、回復魔法をかけて貰っている剣士に聞いた。
「危険は承知していたのだが、どうしても土系の良い魔石が必要だったのだ。まさか2匹も出くわすとは思わなかった。」
痛みに耐えながら剣士が答える。
エリックは、二体のアースタイガーの骸から、魔石を取り出し、魔術士に渡そうとすると、
「それは貴方が倒した魔獣、よろしいのですか?」
先ほど震えていた女性が言ってきた。
「別に二個譲るくらい、俺には問題ない。二個で足りるか?」
「2個有れば充分ですが、ただで貰う訳には…」
申し訳無さそうな顔で言う。
「別に金に困ってないから、構わんよ。それより剣士が回復したなら、すぐに戻った方が良いぞ。この森、アースタイガーが多過ぎる。何かおかしい。」
アースタイガーの骸をダンプポーチに収納しながらエリックが言った。
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