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定番イベント

ギルド内の作りは、ほぼ一緒だ。

まあ、デカイが。

買取カウンターに向かい、荷物を乗せて声をかける。

「魔石の買取を頼む。」

受付の女性が、

「この中、全部魔石ですか?」

と、少し引きつりながら言ってくる。

「ああ、この街に来る途中に、さんざんゴブリンに襲われたからな。」

そう言うと、

「量が多いので、少しお待ち下さい。」

そう言って、荷物を持って奥に向かった。

カウンターで待っていると、

「よう坊主。ここは子供が来る場所じゃねえぞ!サッサと帰れ!指導代としてその剣は貰ってやる」

いかにも頭の悪そうなチンピラが、頭の悪そうな笑みを浮かべて、こちらを見ていた。

あれか、定番のギルド揉め事イベントか?

そう思って、のってやることにした。

「カスが、俺に声かけんじゃねえよ!失せろ!」

挑発してやると、

「なにっ!小僧!俺を誰だと思ってるんだ!銀級冒険者、プー様だぞ!サッサと剣置いて帰れ!」

銀級か、問題無いなと、さらに挑発する。

「銀級程度で、俺に偉そうだな。何なら指導してやろうか?」

馬鹿にした表情で睨んでやる。

「舐めやがって、見習いか、鉄級程度のガキが俺に勝てるとでも、思っているのかっ!」

そう言いながら、右手の拳が飛んできた。

それを左手で掴み、拳を握り潰す。

「ウガァァァァッ!」

男は、叫びながら、膝をつく。

後ろに控えていた仲間らしき2人の男達が、俺に突っかかってくる。

男の拳を離し、1人の顎を殴り気絶させ、

もう一人の男の腕を掴んで、俺はその場で側転のような飛びをする。

すると男は俺の動きに、連動して身体が回る。

当然、受身も取れず、床に叩きつけられる。

1番後ろに控えていた、おそらくリーダーらしき男が、剣を抜いた。

「抜くということは、死んでもいいということか?」

俺は、男を睨んで言い放つ。

「うるせえ!仲間やられてタダで済ます訳がないだろ!」

男が言うと同時に斬りつけてきた。


が、その剣は、ある男によって砕かれる。

「止めろ!タコス!お前ではその男に勝てん!」

カウンターの所に、1人の壮年の男が立っていた。

「マスター、こんなガキに俺が負けると思っているのか!冒険者同士の揉め事は、ギルドは関知しないはずだろう!こいつ殺してやる!」

タコスと呼ばれた男が、マスターと呼ばれた男に言う。

「そいつは、白金級冒険者の吸血鬼だぞ。お前が死ぬだけだ。」

マスターが言うと、

「白金級っ?こんなガキがっ?」

タコスが驚いてこちらを見る。

「話に聞いただけだが、キョウ帝国のドラクロア領で、14歳の吸血鬼が、魔獣を倒しているらしい。その吸血鬼は、紫の髪の毛をしているらしい。君がそうだろう?」

話の途中から、俺を見ながらマスターが言う。

「ああ、俺の事だな。」

短く肯定する。

周りが騒がしくなる。他の冒険者が騒ついたせいだ。

「やはりな。受付が、大量の魔石を持って来た少年が居るというから、一応部屋から出てきたが、正解だったな。タコス、仲間を連れて、隣の治癒魔法院に行け、治療費は、俺が立て替えてやるから。」

タコスにマスターが言うと、タコスは俺を睨みながら、拳を握り潰した男を抱え、他の2人を知り合いに頼み、一緒に出て行く。


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