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第29.5話 クール・エスケイプは知りたがる

『好奇心は猫を殺すという諺があるけど、好奇心を持たないモノは死んでるも同然でス!」

 負けるはずのない勝負だった。なぜなら、クイズの問題は、今までの侵入者達の言動から苦手分野を予測したうえで『絶対に答えられないもの』を選出したのである。


 その選出に大きな役割を果たしたのが鳩山エレクトロニクスの技術を結集して作った『ゴールデン・ボックス』というコンピューターだった。


 ゴールデン・ボックスは新型のAIを搭載している優秀な後継機だ。悔しいが創造主により貢献できるのは『彼』の方だろう。


「ロマンシングイナヅマチョコアークフロンティアジャンプサガパラサイト」


 そんな彼の導き出した問題がスラスラと解かれていき、現在は小さな子供にすら答えられてしまっている。


 なぜだろう?


 絶望感よりも疑問を感じてしまうのは、監視ロボットをお役御免となった自分がクイズロボットにチューンナップされてしまったからだろうか。


 考えてみると、今回の侵入者達についてはおかしな事ばかりだ。


 ゴールデン・ボックスが観測手として助力するようになってからブラスト・エイトの射撃能力は大幅に向上し、まさに百発百中になった。しかし一発も攻撃が当たらずやがて敗れた。


 ゴールデン・ボックスがビル全体を監視するようになってから、スパイ活動が一切無くなった。しかしこの侵入者達はここまで来ている。


「ディアモモタロウハーツストライク……………」


 そして、ゴールデン・ボックスの力を借りた自分は今、窮地に立たされている。


「……ニャンゾイ」


 目の前の少女が回答し終えた。正解だ。


 ピンポーンと音が鳴る。シャッターが開きはじめる。どちらもゴールデン・ボックスが操作の権限を握っている。


 自分はそれっぽいこと言ってクイズを出しているだけ、自分に与えられた権限はたったそれだけだった。


◆◆◆◆◆◆


『悔しいですがおめでとウ!』


 それを聞いた少女が「行コ」と4人を促し、侵入者達は階段を登っていった。


 部屋が再び静かになる。


『……ゴールデン・ボックス、聞こえますカ?』


 万象ビルに張り巡らされた回線を通じて会話を試みる。疑問をそのままにしておけないクイズロボットとして、そして万象ビル全体を監視していた先輩として、確かめる必要があったのだ。


『ゴールデン・ボックス? 聞こえているんでショ?』


 しかし返事はない。ドコロカ……


『ゴゴゴールデンボボボックス!? ナナナニヲ!?』


 自分を何者か……がシャットダウン……しようとして……いる!?


『マサ……カ……ゴールデン……ボックス……アナタ…………?』


 そして62階の静寂は更に深まり、照明も消えた。

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