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第28話  4月 5日(火) 知るかバカ! そんなことより進撃だ!

現在の所持能力

①リーナマリーの身体能力

②そこそこの学者の知能

③狙撃手の狙撃能力

④コッキーのシャーマン能力

⑤そこら辺の生徒の 手首から糸を出す能力

●目標「鳩山エレクトロニクスの社長室へ行こう」

●詳細「リーナマリーから抜き取られた竜王の戦いの記録拡散を阻止せよ」


「まるでバイオハザードだな」


 俺はガンッガンッと強烈にノックされている扉を見て苦笑いを浮かべた。


 あのあと人間エリアの全ての社畜が60階に殺到してきたため、俺達は階段を登りきったところにあった扉を強固にロックしたのである。


「大丈夫カナー?」


「アレだけやったんだから大丈夫でしょ。多分コレはぐれメタルが大防御してるくらい硬いわよ」


 リーナマリーがコンコンと扉をノックする。


「スーファミ版のドラクエ5だったらヤバイような気がするが……」


 ちなみに俺達が扉にどのように強化を施したのかを具体的に言うと……

 ①コッキーが元々ついていた扉の鍵をかける。

 ②リーナマリーが階段の手すりを剥ぎ取って両開きの扉の取っ手にグルグルと巻きつける。

 ③俺が糸を出して更に手すりを巻く、更に扉全体に対して『田』『×』の字のように何重にも糸を張る。

 ④最後に先輩が超硬度の液体金属『トロカチンEX』とかいう頭の悪い物質で扉を強化する。

 ……っといった感じである。


 俺はその様子を思い出し、自分ならぶち破るのにどれくらい時間がかかるかを自問し、最終的には「まあ、社畜全員が同じタイミングで痛恨の一撃を出さなければ大丈夫か」と結論づけてドアに背を向けた。


◆◆◆◆◆◆


「それで、ここが人類未踏の地ってわけか?」


 万象ビルの61階、そこはガラスケースの中に資料が展示されている静かな空間だった。


 俺はその内の1つに近寄って中身を確認する。


「1947年11月2日この腐りきった世の中に降臨……天の声を聞いてロボット開発に乗り出す……まさに天才的な手腕で会社を拡大……ベストジーニスト賞に輝く……ダーウィン賞に輝く……ステラ賞に輝く…………ああ栄冠は君に輝く……やたらめったら輝く……世界のロボット生産の内5割を閉めることに成功……こりゃ『鳩山雪夫史』だな」


「写真モアルヨー」


 隣のケースを見ていたコッキーが手招きする。


「本当だ。これは……小さい頃の鳩山の写真?」


 近づいて見ると煤けた白黒写真が飾られている。その写真には少年と両親の姿が写っていた。


「家族写真みたいね。ということはここは……」


「……ミュージアム?」


 西園寺姉妹の言うとおり、ここは鳩山エレクトロニクスと鳩山家の記録を残すためのミュージアムなのだろう……しかし、俺は小さな違和感を覚えた。


「だけど何で『こんな場所』に?」


「……そう言われてみるとそうね。現在まで鳩山雪夫以外の人間が足を踏み入れたことが無いこの場所にミュージアムを作る必要性がわからないわ」


 リーナマリーはしばらく真面目に考えていたようだったが、「ま、変人の頭の中を予想するだけ無駄ね」と肩をすくめた。


「……」「……」


 俺と先輩は「おま(えが)いう(な)」という言葉を飲み込んで、生暖かい視線をリーナマリーに送っていた。


「燕ハ、ドウ思ウ?」


 リーナマリーが諦めた一方で、コッキーは年長者の燕さんに意見を求めた。


『え、アタシかい?』


 コッキーにいきなり振られた燕さんは『まいったねぇ』と頬を掻いてチラチラとこちらに目線を送ってきた。しかし、年長者の意見を聞いてみたい俺が待っているのを見て、観念したように口を開いた。


『まぁ……一言で言っちまうなら「幼稚」だね』


「幼稚、ですか?」


『ああ、こういうのは自分で作るもんじゃなくて他人に作らせるもんさ。しかもそれをこんな場所に作ってるってことは、オナニー以外の何物でもないね』


 俺の言葉に燕さんは腕を組んで言い切った。リーナマリーも同じ意見なのだろう、うんうんと頷いている。


「なるほど、さすがツバメ、流石に記念館作られてる人は言うことが違うわね」


『………………へ?』


 リーナマリーの言葉に、燕さんがポカーンと口を開けている。


「『へ?』って……まさか燕さん自分の記念館に行ったこと無いんですか!?」


『行ったこと無いどころか初耳だよ!? なに!? そんなのあるのかい!?』


「……〒377ー0008 群馬県渋川市渋川678ー3」


 先輩がスラスラとその場所を答える。燕さんが頭を抱えている。


『うわー……何て書かれてるんだろぅ……見たいような見たくないような……』


 まあ確かに死後に作られた記念館だから本人は知らなかったのもかもなぁ。


「この戦いが終わったら、一緒に行ってみますか?」


『あらデートのお誘い?』


「違います」


 燕さんはさっきまでの態度はどこへやら、ケロッとした態度で俺をからかう。


「全くこの人は…………」


 おかげでリーナマリーには睨まれてるし、コッキーは頬膨らませてるし、先輩は涙目になってるじゃないか……しかしここで過剰な反応をして問題をややこしくするほど俺も馬鹿ではない。


 俺は「さ、上の階に行きますよ」とサラリと話を流した。


◆◆◆◆◆◆


 62階は大きなモニターが奥の壁に置かれ、その前に4個の椅子が並べられていた。


「……映画館?」


「ワー凄イ! 初メテ来タ!」


 確かに先輩の言うとおり、この部屋の作りは映画館に似ている。俺が「ほへー、羨ましい」と辺りを見回していると、リーナマリーが一歩を踏み出した。


「のんびりしている暇はないわ、さっさと行きましょ」


「あっさりしてんなぁ」


「実家の映写室の半分くらいの部屋に驚けないわよ。それに……」


 リーナマリーがスマホを取り出して俺に見せる。


「こっちの方が重要でしょ?」


「かわいい待受け画像だなぁおいテメェ」


 そこにはいつの間に撮ったのか、恋華とリーナマリーの自撮写真が設定されていた。俺の冷ややかな視線を受けてリーナマリーは少し怯む。しかし、「違うわよ見るべきなのはココ!」とスマホのある部分を勢いよくビシィッと指差した。


「……ヤベッ!? もうこんな時間なのか!?」


 リーナマリーの指し示した場所には時計のヴィジェットがあり、針は3時34分となっている。つまり、俺達に残された時間は1時間10分しか無いということである。


「そうよ、階を昇るペースは早いから一見余裕に思えるけど……」


「幹部のロボット連中がまだ出てきていない」


 真剣な表情でリーナマリーが頷く。


「それじゃあ行きましょ!」


 リーナマリーが足早に椅子の横を通り過ぎようとしたところでモニターのスイッチがヴゥンっと入り、それと共にスットボケた音声が流れはじめた。


『クイズ! マジカルポッポアワー!』


「は?」「なにこれ?」「……?」「ワーイ」


■目標「鳩山エレクトロニクスの社長室へ行こう」

■経過「嫌な予感しかしない」

コッキー・ニャンゾイ

「クイズマジカルポッポアワー?」


「オ菓子ノ名前カナ?」(ジュルリ)


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