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第26.5話 真・リーナマリー無双

ワタシ

大活躍

デース

「……」


 ワタシは無言で万象ビルの正面ゲートをくぐった。


『STOP』


「うるさいわね」


 すぐさま警備ロボットが飛んできたが、貫手で動力バッテリーをぶっこ抜いた。


『WARNING!!』


 ブオーブオーと法螺貝のような警告音が鳴り響き、警備ロボットが集まってくる。


「うるさいって言ってるでしょ!」


 ワタシは先程沈黙させた警備ロボの足を持って薙ぎ払う。そして殲滅前進を開始した。


◆◆◆◆◆◆


 10階まで来たところで『ロボット、人間を含めた社員の皆さん御機嫌よう~』と鳩山雪夫の放送が流れた。


「思ってたよりも反応が遅い……清愛が見張りのロボットを倒してくれたおかげかしら?」


 そう呟きながらワタシは壁を走り、工場の大きめの機械の陰から撃たれた銃弾を全て避けた。壁を蹴って地面にズザザっと着地、ついでに床に散らばった小さなネジが一杯入った袋を回収。これで殲滅がグッと楽になるわね。


「死にたい奴からかかってきなさい!」


 ワタシはそう叫んでネジを指で弾く。


『ピピガーッガー!?』


 警備ロボットの身体に大きな風穴が開いた。いわゆる指弾というものである。


◆◆◆◆◆◆


 33階まで来たところでネジが無くなった。好機と見た警備ロボットが一斉に襲い掛かってくる。


「侮らないで! この程度の敵を殲滅せずして何がヒーローよ!」


 ワタシはちょっと本気を出す。右足で1体の警備ロボット蹴り飛ばし、それが後ろの敵に当たり、次に隣の敵に当たり……最終的には一撃で襲い掛かってきた敵を全て片付けた。


「このビル全てのロボット? は、ワタシを倒したければその三倍は持ってこいという話よ!」


 ちなみに先程からアレなことを叫んでいるが、実は怒っているわけではない。なるべくこちらに敵を引きつけようとしているのが半分、そして、さっきまで胸を押し付けていた自分が恥ずかしさを紛らわすのが半分である。


 つまりぶっちゃけて言うと、照れ隠しに暴れているのだ。


「よし、次は……34階ね」


 ワタシが表側の階段を登りはじめたところで裏の階段の方から『紅茶が飲ミタイネー!?』という謎の叫びが聞こえた。


「今のはキミト?」


 ワタシは足を止めて少し考えた。


「……紅茶が飲みたいって言ってたけど喉でも乾いたのかしら? あ、そうか裏の階段方には自販機も何もないのかもしれない。ってことは……うん、先回りして紅茶を用意しておくのも良いかもしれないわね!」


 奮起したワタシは更に殲滅前進のスピードを早めたのだった。


◆◆◆◆◆◆


『フフフフ、ワタシこそが戦いの王女様!』


 人は目的があるとこれほど強くなれるものなのか、一分後には47階に到達。


◆◆◆◆◆◆


『僕ちんが命ずる! その糞女を止めろ! 止めろオオオオオオ!』


 随分と反応の遅い鳩山の指示にワタシは呆れる。


「もう止まってるわよ……休憩してるだけだけどね」


 51階の裏階段に通じている誰もいない待合室に忍び込んだワタシは、自販機で『深夜の紅茶』を買っていた。


「よし、これをキミトに渡せば……」


 ここで、ふと、ワタシの頭の中にとある考えがよぎる。


 つまり、この状況を他人が見たらどう思うかということである。昔の人も言っていた。『この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日』これを今の状況に当てはめるとこうだ。キミトが紅茶を飲みたいと言ったから四月五日は紅茶記念日』


「…………」


 顔が熱くなってくるのを感じる。そしてタイミングの悪いことに裏階段の扉の向こうから『やめてください照れますって』っという声が聞こえた。


「ヤバッ!?」


 ワタシは混乱する。どうする? どうする?……そうだ! 飲んじゃえ! そしてワタシは紅茶をゴクリと一口飲んだ。


 そこでガチャリと扉が開いてキミトが顔をだす。何とか間に合った! 何に間に合ったのかわからないけど間に合った!


「あーら遅かったじゃないキミト、しかもだらしない顔して疲れたのかしら? こっちは時間が余りすぎて紅茶を飲んでゆっくり待ってたのよ?」


 ワタシは平静を装いながらキミトに微笑みかけたのだった。

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