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第三話 よくわからんけどそっちのミスなんだな

「よくきたな異人よ。私は、このアルデンダ国の王だ。我が国の抱える最高級錬金術師達の力によって、貴様の魂を拾い、肉体を再構築したのだ」


 度々中断されたこともあって、三度目の説明であった。


「なるほどな。そういうの、よくあるよな」


 王が反応を欲しそうにしていたので、適当に相槌を打ってやった。


「消滅しかけの魂を呼び、仮初の肉体を与える。その際に特殊なスキルを付加することで、最強の勇者を造りだすことができる。理論上不可能といわれていたが、別世界から引っ張ってくることで裏道的にそれを可能にしたのだ」


「おう、聞いてるぞ」


 ボロボロになった王の間で、俺と王は向かい合っていた。


 ロゼという女錬金術師の暴走により、ほとんどの者は負傷して別室へと運ばれていった。

 今この場にいるのは王と護衛兵と大臣、それから俺のたった四人だけだった。


「それで、俺はなんだ? 魔王でも倒せばいいのか?」


「え? な、なぜ貴様が知っている!」


「一番セオリーだからな。俺はこのスキルを使って魔王をブッ飛ばせばいいんだろう?」


 俺があっさりと返すと、王様は下唇を噛みしめた。


「話しがいのない奴め……」

「ま、まあいいではありませんか王! ぜんぜん納得してもらえないよりは、物わかりがいい方がずっとありがたい」


 不機嫌になった王を大臣が諌める。


「で、俺はこれからどうなるんだ?」


「……貴様に、剣と魔法の師匠を着ける。鍛錬に励み、最終的には魔王へ挑んでもらう。貴様に拒否権はないぞ」


「え……俺、自由に動きたいんだけど。最終的に魔王倒せたらいいんだろ?」


「勝手に死なれては大損害だ。あまり勝手な真似をするな、いざとなれば、こっちにも貴様に服従させるとっておきがあるのだぞ」


 にやりと、王が笑う。


「貴様、先ほどステータスを確認していたな。特殊スキルの中に、『王家の鎖:LvMAX』というものがあるはずだ」


 俺は王に言われ、ステータスを確認し直す。

 確かに『王家の鎖:Lv1』というものがある。あれ、レベル下がってね?


「その特殊スキルは、貴様の行動を抑制するためのものだ。今の様な好き勝手な言動を続けているのならば、私の指ひとつで貴様の命は……」


「なあ、レベル1なんだが」


「は? なにがだ?」


「いや……その、スキルのレベル」


 王はさっきまで歯を見せて笑っていたのに即座に口を閉じ、真顔へと豹変した。


「大臣よ、レベル1の王家の鎖はどの程度拘束力があるのだ?」


「た、確か……国の者の命を奪おうとする行動に抑制が掛かる程度だったかと。何分まだ、異世界を利用する魔術は研究段階でありますから……スキルレベルの減少は、仕方がないかと……。それが鎖だったのは少し痛手でしたが、1でも残っていたのはまだ幸いだったかと」


「むむ、むぅ……」


 王はガシガシと頭を掻きむしる。


「……仕方あるまい。よい、よいだろう。鎖の失敗したものを城に置いておくというのも危険が高い、貴様はいわば実験段階、どの道また準備を整えて新たな異人を召喚する予定だ。好きにするがいい。だが、私から呼び出したときは必ず城に来て、命令を受けてもらうぞ。いいなっ!」


「へいへい、了解した」


 俺は簡単に言って、王の間を出た。

 後を追ってくるものはいなかった。

スキル紹介:


『特殊スキル:王家の鎖』

 このスキルを保持していると、アルデンダ王家に歯向かえなくなる。

 Lv1で良識ある一般市民程度、Lv最大で奴隷。

 スキルLvの上限は10。

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