表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/42

鵜飼対榎本

榎本よりも鵜飼の方が、背が高い。だから、鵜飼の威圧感をものすごく感じているはずだ。だけど、榎本の目には怯えている様子は一切なかった。

「なんだよお前。俺にケンカ売るのか?だったら、買ってやるぜ」

「ケンカ?なにそれ。それにお前だなんて…女の子だったら泣いてるよ」

俺は二人のやり取りを見て思った。榎本には口喧嘩では勝てないなと。

「椿原君が自殺したんだぞ。なんとも思わないのか?」

「は?なに突然。ウケるなー。あいつは不慮の事故で死んだんだろ。俺関係ないじゃん」

「関係ないわけないだろ!それにこの間、女の子襲ったって聞いたぞ!」

「あー、あれね。そうか、お前も一緒にヤりたかったのか。じゃあ、今度誘ってやるよ」

「そんなこと言ってねえだろ!」

興奮したのか、榎本は近くにあった椅子を蹴っ飛ばした。

「榎本、落ち着け」俺は榎本の肩に手を置いた。この様子を見た鵜飼は嬉しそうな顔をしている。悪い顔だ。

「そうか、お前ら仲良いのか。お友達は大切にしろよ」そう言って、鵜飼は教室を出た。

榎本の肩は激しく上下に揺れている。


榎本が落ち着いた頃合いを見て話しかけた。

「何故急に突っかかった」

「………」

「そうか」

黙っている榎本は珍しい。きっと、何かしらの事情があったに違いない。

榎本と鵜飼が言い合いしている間も、クラスメートは目を逸らしていた。今もそうだ。むしろ、俺たちを最初からいないものとしている。そう感じる。ひとりずつ拳を入れてでも、見てもらうつもりは全くない。ただやっぱり、非常に不愉快だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ