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朧月の目
大広間に下品な笑い声が聞こえる。が、一瞬にして笑い声が止まった。
朧月が拳銃を撃った。俺にじゃなく、柊に向けてだ。
銃弾は柊の足元の床に直撃している。柊はその場に倒れた。腰を抜かしたらしい。
「静かにしろ。次は頭を狙う」静寂な大広間にぽつりと言葉を発した。
再び銃口は俺を向く。朧月との距離は約三歩。勢いよくナイフを振れば届く距離かもしれない。
ショルダーホルスターにあるナイフに手を掛ける。
「拳銃相手にナイフを使うのか?」
「従順な犬には勝ったが?」
「桐崎と一緒にしては困る」
トリガーに掛かっている指に少し力が入ったのが分かった。もうすぐ撃ってくる。
目を見ればタイミングが分かるかもしれない。タイミングによっては横に跳び、反撃できるはずだ。視線をずらし、朧月の目を見ることにした。が、朧月の目を見た瞬間、俺の頭は冷静という言葉を忘れた。




