忍び寄る最後
後ろから声を掛けられた。誰からなのかと、振り向き、確認する。
驚くことで精一杯だ。声が出ない。夢の続きなのだろうかとまで思う。
「やっぱり、烏山君じゃないですか!」
「お前………」
「お前だなんて…女の子だったら泣いてるよ」
「本当に、榎本なのか⁉」
「そうです。僕が榎本です。夢でも見てるんですか?」
目の前にいる榎本は息を切らしながらも、屈託のない、昔と変わらない、笑顔を見せている。
「何故、息を切らしてるんだ?」
「え?ああ、さっき、忘れ物を届けたんですよ」
「そうか」
昔と変わらないなあ、と榎本は俺の肩を叩いてくる。少し照れくさいが、榎本と再会して心に余裕が生まれていた。
「ところで、どこか行くんですか?」
「え…」驚いた。何故、榎本が俺の行動を知っているのだろうか。
「あ、知ってて言ったわけじゃないですよ。なんとなくそう思っただけ。でも、当たったんですね!」
不思議な奴だなと感じた。心を読まれている気がする。
「別に心を読んでるとか無いですから。で、どこに行くんですか?」
きっと、榎本と言い合いになったら負けるだろうなと思いながら、行き先を言うため、名刺を榎本に見せた。
「えっ。ココに行くんですか?」一瞬、榎本の瞳孔が大きくなった気がした。
「知っているのか⁉」
「うん。案内しようか」
正直助かった。住所だけではたどり着けなかったからだ。一瞬瞳孔が大きくなったのはきっと、自分の知っている場所だったからだろう。そう思い、俺は榎本について行くことにした。




