夢の続き
照りつける太陽が、身体を焼く。そのぐらいの暑さを感じた。
今は夏か。いや、冬のはずだ。
だったら、これは夢なのか。
夢だと気づいたとき、起きるはずだ。目を覚ますはずだ。夢から抜け出せるはずだ。なのに、目が開かない。体が動かない。頭が働かない。俺はただ、目の前に広がる映像を眺めることしかできなかった。
虫網を片手に、虫かごをぶら下げ、麦わら帽子を被った少年がいた。隣には、少年の父親らしき人がいた。きっと、親子で虫取りに来たに違いない。
以前にも、似たような夢を見た気がした。これは、どういうことなのだろうか。
少年の視線の先には、少年と同い年くらいの男の子が、祖父母と手を繋ぎ歩いている。
「なんで、僕にはおじいちゃんがいないの?」
その質問に、少年の父親は一瞬、顔色が変わった。
「おじいちゃんはね、今、遠いところに住んでいるんだよ」
「僕はそこに行けないの?」
「シュンがもう少し大きくなったらな」
どうやら、少年の名前はシュンと言うらしかった。〝シュン〟と言う言葉に、何かが、引っかかる気がした。が、よく分からない。夢の中で、思考することができない。
シュンは一生懸命虫網を振っていた。虫網の先には黒い蝶が舞っている。
「アゲハチョー、アゲハチョー」
シュンの狙う蝶は、どう見ても、アゲハチョウではなかった。あれは確か、と考えるが無理だ。頭が回転しない。
「シュン、違うんだ。あれはね…」
シュンの父親は何かを言った。もしかしたら、シュンの狙う蝶の名前だったかもしれない。ただ、名前を聞く前にその景色が変わっていた。
目の前を黒い蝶が横切った。シュンの追っていた蝶だと分かった。が、実際に追ってきたのは、ガタイのいい男だ。ガタイのいい男が俺に気付き、拳銃を向けてきた。俺はショルダーホルスターからナイフを抜き取る。引き金を引く前にナイフを振った。首から血が噴き出し、膝から崩れ落ちた。髪の毛をつかみ引っ張り上げると、ガタイのいい男ではなく、タラコくちびるの椿原に変わっていた。訳が分からない。
「ビジネスの邪魔なんだよ、殺し屋が」
唾と血を飛ばしながら、椿原が叫んできた。椿原の唾が顔に付いた。
「違う。殺し屋じゃない。スイーパーだ。」と言ったつもりだったが、声が出ていないことに気が付いた。さらに、顔が濡れている事にも気が付いた。
意識が夢から離れていく。




