追憶~その2~
それから俺は、手下一号の手下を指導し、その手下を連れ、他の群れを壊滅していった。
俺にとってこの群れは、俺の居場所だった。少しではあるが、お金も手に入り、それで食っていける。誰かの家に泊まることもあれば、拠点でもある廃ビルで寝泊まりもできる。一時は敵視されていたが、リーダーである手下一号が説得した。手下一号には、俺に対するトラウマがあるらしい。今ではこの群れに〝team crow〟という名が付いた。
〝team crow〟はエリアの幅を広げ、いつしか、大都市を代表する連合の群れと肩を並べるようになった頃。
「鵜飼さんがよ…」突然、手下一号が語り始めた。「鵜飼さんが、今、ヤバい世界にいるかもしれねえんだ」
「ヤバい世界って?」
「俺らはよ、まだ安全な世界にいるとするだろ、鵜飼さんはその…安全じゃない世界にいるかも…」
「だからその世界っていう意味が分からない」
「命を簡単に消せる世界…って言えばいいか?」
「命を消せる?」
俺は、父親が撃たれた場面を思い出した。撃たれた父親は醜い顔をしていた。あんなのが俺の父親だったのか。今思うと、その時はそうとしか感じていなかったらしい。撃った男は特徴的だった。全体的にゴツく、左目に六センチくらの傷があった。どこかで、見たことのあるような顔だったかもしれない。
そうか。この撃った男こそが、そのヤバい世界にいたのか。
「なあ…」俺は、心のどこかで父親を慕っていたのかもしれない。心のどこかで父親の敵を取りたかったのかもしれない。次の一言で俺自身の気持ちを認識した。
「その世界にはどうやったら行ける?」




