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海の烏

臭いものにはハエが集まり、汚いところにはゴキブリが集まるのと同じように、椿原には醜い集団が集まっている。

その醜い集団のリーダーは鵜飼(うかい)拳汰郎(けんたろう)。彼が率いる集団は自分達が学校を支配していると思っているらしい。事実、学校の中でも一、二を争う素行の悪い奴らだと聞いた。

最近では夏の暑さで欲情したのか、学校の女子生徒を襲ったらしい。しかし、この情報はクラスにいるよく分からない女子が言っていたから、本当かどうかは分からない。ただ、この情報が流れてもおかしくないような奴らだというのは分かる。

「おい、お前何見てんだよ」

奴らに見つかったらしい。ここで、無視するのも一つの選択だ。

「ちょっとこっち来いよ」

奴らに呼ばれたらしい。無視をしたところで、今度は俺にたかってくるだろう。それはそれで非常に面倒なので、奴らの方に行くことにした。


「お前何見てんだよ」

「なんだろうな」

「ふざけてんじゃねえぞ」

目の前にいる鵜飼は肩まで長くした金髪で、よく見るとイケメンなのかそうでないのかよく分からない微妙な顔立ちだった。きっとこの髪型がそういう風に見せているのだろう。

「なに笑ってんだ。あ?」

鵜飼の後ろから手下らしい人物が現れた。名前は知らない。絶対リーダーにはなれない雰囲気がある。

「だから、なに笑ってんだって言ってんだよ!」

手下一号が俺に向かって拳を飛ばしてきた。

弱々しい拳だ。

そっと、その拳をかわし、手下一号のみぞおち辺りに拳を入れた。

「ゔっ…」手下一号はその場でうずくまった。それを尻目に懸け、鵜飼は俺の方に近づいてきた。

「お前…」

その言葉に一瞬俺は身構えた。が、その必要はなかった。

「面白い奴だな」鵜飼は笑いながら俺の肩に手をかけ、髪をかき分けた。

「烏山君…」椿原は何故か俺の名前を発した。自分を助けに来たヒーローかなにかだと勘違いしているのだろうか。それはそれで不愉快に感じる。

「そうか、お前、烏山っつうのか。ちょうどいい。俺と組まないか?」

「………」

「俺は鵜飼だからよ、ちょうどいいじゃん。鵜ってのはラテン語で海の烏っていうらしいしよ、俺が飼ってやるよ。カ、ラ、ス、君」

「害虫がっ…」

「あ?なんか言った?」

俺は肩から手を払い教室を出た。帰り際、椿原の机を蹴っ飛ばした。


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