第2話『亜実の決断 1』
ある雨の日、俺達兄妹は喪服を身に纏い墓の前に立っていた。
「憐奈お姉ちゃん、お父さん達どうしたの?」
「あのね、春。父さんたちは……」
春妃だけは今何が起きているのかまだ理解できていないのであろう憐姉ちゃん色々質問を投げかけていた。憐姉もそれに対して優しく答えていた。そう、父さん達は死んだ。アマゾンに向かう途中で事故にあったらしい。
そして、その日の夜。
「春妃、寝かせたよ亜実姉さん」
「うん。ありがとう、悠くん。さて、始めましょうか…」
まだ小さい春妃が寝た後で紅家の家族会議が始まった。まあ、本当なら冬佳も寝かせておいた方が良いのだが亜実姉さんが参加させようと言ったのでそのままここにいる。
「これからの事なんだけど、まずお姉ちゃんはこのまま大学に行かずにお店を継ごうと思うの」
「ちょ、ちょっとまてよ姉さん!!確かもう推薦で決まってんだろ?」
亜実姉さんの言葉に一番最初に反応したのは憐姉ちゃんだった。
「うん。だからね、断ろうと思うの」
「べ、別に断ることないだろ!姉さんが大学卒業するまで閉めておけば良いだけの話しだろ!」
「でもね、憐奈ちゃん。閉めておくっていってもね。お店がある以上維持費が掛かるの。4年間も収入がほとんど無い状態でその維持費を払うなんて事出来ないわ」
「それなら、誰かに任せるとか…色々方法はあるだろ!!」
「……憐、少し落ち着いて」
熱くなっている憐姉ちゃんを諭す亜紀ねぇ。
「うるせぇよ亜紀!!アタシは自分を犠牲にしている姉さんが気にくわないんだよ!!」
亜紀ねぇの手を払いのけ、大声で怒鳴りつける憐姉ちゃん。それを見ていた冬佳はオロオロしていた。