第1話『プロローグ』
「悠一。ちょっと父さん達冒険に行ってくる!!」
いきなり父さんがこんな事を言い出した。
「ふ~ん……今度は何処に行くんだ?」
俺は驚きもせずジャ○プを読みながら尋ねた。
「アマゾンだ!!」
「アマゾンってAmazonじゃなくて森の方の?」
「ああそうだ!別に買い物しに行くわけじゃなからな!あ、でも夢を買っているか、あ~はっはっは!」
馬鹿笑いをする父親に対して何も言わずにただ溜息を吐く。しかし、よく考えたら1つだけ忘れていた事があるそれは…。
「別に行くのは構わないけど店はどうすんの?」
「な~に、亜実がいれば大丈夫だ!なんにも心配はいらない」
まあ、この答えが返ってくるのは予想通りといえば予想通りなんだけど…。
「っというわけで、行ってくるぞっ!!」
「お土産期待しててね~」
そう言い残し元気よく家を出て行った。
「まったく、あの馬鹿親共め…」
「……おにぃちゃん」
末っ子の春妃が昼寝から覚めたのかようで目を擦りながら部屋から出てきた。
「ああ、春妃起こしたか?」
「ううん。大丈夫……お母さん達は?」
「いつもの悪い癖だ。まあ、すぐ帰ってくるよ。それより、なにかおやつ買いに行かないか?」
「うん、行く!」
春菜の手を引いて家を出た。この時の俺はまだ知らなかった。あの馬鹿笑いしていた父さん達の声を聞くのが最後になるなんて思っていなかった……。