表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エーテルコード  作者: エトコッコ
第1章:ファクターズ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/51

第4話「ハーフファクター」


オルフェ研究機関・訓練エリア。


広大なシミュレーションルームに、4機の白いEDが整列していた。


量産型エーテルドール——

“プレントルーパー”。


通称「トルーパー」と呼ばれる機体の左肩には 01・02・03・04 の番号。


その様子を、観察室からじっと見つめる女性がいた。


クレア・泉・テイラー。

オルフェ研究機関で最年少の研究員であり、副総帥であるトーマスの娘。

努力家だが、毒舌の持ち主でもある。


タブレットを操作しながら、小さく呟く。


「……さて。今日もちゃんと動けるかしら」


訓練エリア全体が起動音を轟かせる。



「よーし、準備はいいかー?」


教官補佐として前に立つ閃の声が響く。


『はい!』


4人の声がそろって返る。


閃は軽く手を上げた。


「今日は基本動作の確認。まずは——」


言い終える前に、01番機が前へ飛び出した。


素早いステップ、迷いのない動きで、訓練用ブレードを構える。


「うん。グンジン、とりあえず落ち着け」


『了解であります!』


あずま 幹雄みきお——通称「グンジン」。

技術は訓練生トップだが、やる気が前に出すぎるのがやや難点。

軍家庭育ちで、常に礼儀正しい。



02番機は、ぎこちなくバランスを崩しながら進む。


『うおっと……!』


光井みつい きょう——通称「ミチ」。

ぽっちゃり体型で陽気なムードメーカーだが、操縦はまだ不安定。


「ミチ〜、1回転ぶごとにGGピザ(高級ピザ)1枚な〜?」


閃が軽い口調で言う。


『ペナルティ重すぎんだろ!!』


と返ってきた声には、焦りと悲鳴が混ざっていた。



03番機は、まるで跳ねるように軽快に動く。


『閃先輩! 見てくださいっ!』


笹本 みのり——通称「みのりん」。

非常に小柄で童顔な女の子。

身軽さと反射神経は訓練生の中でも突出している。


「さすがみのりん!」


『えへへっ♡』



04番機は、最も安定した滑らかな動きを見せていた。


無駄がなく、軌道も正確。制御の質がまるで違う。


「アンジュもバッチリ!」


『まあまあって感じかな〜』


篠崎 アンジュ——通称「アンジュ」。

外見や口調はギャル風だが、本質は器用で冷静な万能タイプ。


クレアは観察室で小さく息を吐いた。


「順調ね。光井以外は」


タブレットを確認する横顔は、どこか楽しそうだった。


閃は4機を見て頷く。


「じゃあ、次いくぞー」



訓練後。


休憩室では4人がソファに沈み込んでいた。


「ち、ちかれた〜……」


「ミチ、GGピザ3枚コースだね」


「無理だっつの!!」


アンジュの軽口に、みのりが笑う。


「でもみんな、本当に上手くなってきたよ!」


「その通りです。努力は必ず身を結びます」


東の真面目な言葉に空気が少し柔らぐ。


光井がふと、窓の外を見ながらぽつりと言った。


「……なぁ。俺たちって、いつ本物の“ファクター”になれるんだろ」


その言葉に、場が静かになった。


訓練生たちはまだ完全に覚醒していない。


エーテルファクターへの途中段階——通称「ハーフファクター」。


エーテルを出したり、見ることはできても、スキルは使えない。


EDには乗れるが、本来の力は出せない。


「ま、慌ててもしょうがないっしょ」


アンジュが肩をすくめる。


「ええ。必ずその日は来ますよ」


東は頷いた。


「あたし、雷属性がいいな〜。かっこよくない?」


みのりの無邪気な声に、皆の顔に笑みが広がった。



その頃、研究エリアでは、モニターに訓練生たちのエーテル適性が映し出されており、それを見た男性が静かに呟いた。


「順調だな」


トーマス・テイラー。

オルフェ研究機関・副総帥。

温厚で理知的、総帥・エドワード不在の間、日本支部を支える重要な存在だ。


隣ではクレアがデータを真剣に見つめている。


「でも光井はてんでダメよ、パパ」


「クレア。焦らせてはいけないよ。人には人のペースがあるんだ」


「……分かってるってば」


そのとき、研究室のドアが開きキリッとした声が響く。



「失礼します!」



チン 佳琳カリン——通称「カリン」。

真面目で几帳面、同じオペレーターのリオとは対照的なタイプだ。


「トーマス副総帥、“オーキュラム”が妙なエーテル反応を拾いました」


オーキュラムとは、オルフェが使用する、マザーコンピューターの名称だ。


差し出されたタブレットには、見慣れない波形が揺れていた。


「……これは?」


「不明です。SDでもEDでもない……“魔獣”のような、生物寄りのパターンです」


クレアも画面を覗き込み、息を飲む。


「……ほんとだ。脈動してるみたい」


「…ああ」


トーマスは冷静に頷いた。


「監視を続けてくれ。何か掴めるはずだ」


「了解!」


カリンがすぐに駆け出していく。


静かになった研究室で、モニターの波形だけが脈を打つように揺れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ