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エーテルコード  作者: エトコッコ
第7章:宿命

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第4話「決戦」


閃と怜は、甘いひとときを共に過ごしていた。


互いにとって初めての経験でもあった。


けれどそれは、いわゆる恋愛とは少し違う。


恋人になったわけでもない。


——覚悟の共有


そして、お互いに心のどこかでは、少しだけ心細かったのかもしれない。



深夜。


閃は誰もいない食堂で、スマカを片手に“オニョ姫のゲーム実況”を流しながら、ひとり食事をしていた。


(ドンドンモンキーの新作かー。プレイしてーなー)


そんなことをぼんやり考えつつ、軟骨をつまむ。


「……閃くん」


背後から、ふいに音の声がした。


「?!」


驚いた拍子に、アホ毛がピンッと跳ね上がった。


「ご、ごめん!びっくりさせちゃった!」


音は慌てて謝った。


「おぉ…音。大丈夫よ。というか、こんな夜中に……?」


「うん……夕食の時、閃くんと怜がいなかったから、ちょっと心配で……」


「ありがと。全然心配いらないよ」


閃はいつも通りの笑顔で答えた。


「音こそ、大丈夫……?」


「うん!」


「フフッ」


自然と、閃は笑っていた。


「怜には、夕ご飯持っていって一緒に食べてたの」


「そっか!怜も嬉しかっただろうね」


(音……いつのまにか怜って呼び捨てにしてるな)


その小さな変化に気づきながら、閃は微笑んだ。


「その後、閃くんのところにも行ったんだけど、いなくて……」


「あぁ、その時は烈とトレーニングルームにいたかも」


閃のスマカには、烈からのメッセージが残っている。


『ヒマなら、トレーニング付き合ってくれねーか?』


それに対し


『(* • ω • )b』


と返信していた。


「そうなんだ。閃くんも、烈くんも、怜も……みんなそれぞれ向き合ってる。本当にすごいなぁ……」


音はぽつりと続ける。


「わたしは……まだ向き合えてない。当日になっても、向き合えてないかもしれない」


俯く音。


「こんなの、本当は“向き合え”って言う方が酷だって。だから音がそう思うのは自然なこと」


閃は静かに言った。


音は少し驚いた顔をする。


「閃くん……怜と全く同じこと言ってる」


それを聞き、閃は小さく笑う。


(そりゃ……ね)


「閃くんも怜も、いつもわたしの心も癒してくれる……」


「俺も怜も、音にいつも癒されてるから。お互い様だよ」


「えへへ……嬉しい。烈くんは、頼りになる優しいお兄ちゃんって感じだし」


「本当そう」


閃も心から同意した。


「わたし、本当に……本当に、みんなに出会えてよかった」


音の目が、少し潤む。


「閃くん……ハグしてもいい?」


「もちろん」


ふたりは静かに抱きしめ合った。


「閃くん……あったかい」


「音もだよ」


2人は、しばらくそのままだった。



——数日後


オーキュラムがDDの反応を捉えた。


ついに、その時が来た。


DDはそれぞれ、別の地点へ向かっている。


——1対1を望んでいる


応じるかどうかは、ファクターズ次第。


そして彼らは、その望みに応じた。


イノのエンプティアには、閃。


アークのドレティアには、怜。


クリスのセレティアには、烈。


サムのラフティアには、音。


それぞれがEDに搭乗し、エーテルを集中させる。


発射口が開く。


外は、暗雲立ち込める大雨だった。


見守る者たちの視線を背に、それぞれの想いを胸に、予想到達地点へと飛び立った。



閃のバサラヲと、イノのエンプティア。


両者は静かに対峙していた。


「この前の夢……やっぱイノのスキル?」


「あ、うん!よかった……ちゃんと届いてたんだ、閃には」


「しっかり届いてたよ。イノたちの“戦う理由”も」


「うん……だから、どうしても……たとえキミでも、倒さなくちゃいけないんだ……」


「わかってる。状況は違えど、俺も……同じだから」


「うん……そう、だよね……」


「……これ以上話してたら、さらにやりづらくなるね。もうやめよう」


そういうと、閃は刀を抜いた。


「……そうだね」


イノも両腕のブレードを展開する。



怜のシラユキと、アークのドレティア。


「よォ。やっぱオメーか」


「……」


怜は無言でジャベリンを構える。


「手加減なんてしねーぜ?確実に殺る。オメーも、オメーの仲間も……」


「……そうはさせない。ここで仕留める」


「へっ……やっぱ相手がオメーでよかったよ……」


ドレティアが構えを取る。



烈のレンゴクと、クリスのセレティア。


クリスは無言で大砲を展開していた。


(言葉はもういらねぇ……そういうことかよ、クリス)


レンゴクがクローを構える。


「行くぜ……!!クリス!!」



音のツムギと、サムのラフティア。


「サム……」


「や、やぁ……音。また会えて、う、嬉しいよ……アフフ」


サムの声は震えていた。


音はすぐに察した。


サムも戦いなど望んでいない。


「サム……!どうしても避けられないの!?」


「……ボ、ボクには、もう、どうしようもできないんだ……アフフ」


「……そう」


音は悲しみを胸に、ガンブレードを構え、ゆっくりと上空へ。


そして、ラフティアも同じように上昇する。


黒雲の下、冷たい雨粒が地面を鈍く打ち付けている。


それぞれの戦いが、始まろうとしていた。

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