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エーテルコード  作者: エトコッコ
第6章:律動

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第4話「鉄の心臓②」


レンゴクのモニターが、サキのレギオンΩを捉えた。


上空から、猛スピードで接近してくる。


レンゴクはクローを展開し、口部を大きく開き、ビーストキャノンの射撃体勢に入った。


そして、強力なエーテル弾を放つ。


咆哮のような音とともに放たれた一撃は、一直線にレギオンΩへ向かう――が、

それを、最小限の動きでかわされる。


サキは、レギオンΩの両腰からナイフを引き抜き、一気にレンゴクとの距離を詰めた。


ナイフをクローで受け止めるレンゴク、激しい火花が散った。


至近距離から、再びキャノンを発射。


しかし、それも避けられてしまう。


レギオンΩは一旦上空へと上がり、距離を取った。


サキのレギオンΩは、ヴァルキリー・ギアに特化した仕様。


つまり、空中戦を最も得意とする

“麗鳥”の異名を持つサキに相応しい機体だった。


一方、レンゴクはビーストスタイルを主とする地上戦特化機。


両者のコンセプトは、正反対。


だが、レギオンΩは近接戦しか仕掛けてこない。


つまり、必ずレンゴクの間合いまで踏み込んでくる。



上空のレギオンΩに、沖田小隊のツキガゲが、スナイパーライフルで狙撃を仕掛けた。


正確な弾道――しかし、軽々と回避される。


だが、避けた先を読んで、別のツキガゲが同時に狙撃。


サキはナイフに角度をつけ、弾くというより、流すように弾道を逸らした。


サキはモニターで、弾が飛んできた位置から狙撃者を割り出す。


だが、そこにはスナイパーライフルだけが設置された状態で残されていた。


サキは冷静だった。


ツキガゲのステルス性を考えれば、むしろ当然の結果だ。


それよりも――

レギオン部隊の援軍として到着したはずのサキは、部隊がすでに全滅していることを気にしていた。


任務では、生き残った兵を撤退させるはずだった。


天華の見立てでは、サキが到着する時点で、最低でも4機は健在とされていた。


――つまり、想定よりも早い段階で壊滅していた。


レンゴクが、その戦闘に関与していないことはモニターで分かっている。


(なるほど……ハート、か)


サキは、レンゴクとは別方向にいるザンテツ、そして二方向から狙撃を仕掛けてきたツキガゲ――

それらが“ハート”であることに気づいた。


サキは、レンゴクではなく、真っ直ぐにザンテツへ向かう。


――おそらく、あれが隊長。

頭を潰せば、指揮は乱れる。


そう判断した。


『…勝負ッ!!』


沖田のザンテツは、刀を構えて迎え撃つ。


レギオンΩとザンテツは、激しい斬撃の応酬を繰り広げた。


(すげぇ……!! 正面から……!!)


烈は、驚愕しながらそれを見ていた。


下手に割って入れる隙が、まるでない。


その瞬間、レギオンΩに複数のワイヤーが絡みつく。


ステルス状態のツキガゲ2機から放たれたものだった。


一瞬、動きが鈍るレギオンΩ。


その隙を逃さず、ザンテツの刃がコクピットを貫こうと迫る――


しかし、サキは流れるように突きを回避。


同時に、両手のナイフをそれぞれツキガゲへ投擲した。


ナイフは正確に、ツキガゲのコクピットを貫く。


『麻倉ァ!! 天城ィ!!』


沖田が部下の名を叫ぶ。


体勢を立て直し、再び斬りかかるが、刃が届く前に刀を弾かれた。


弾き上げられ、空中を舞う刀を、

レギオンΩが掴む。


そのまま、ザンテツを斬り裂こうとした――


だが、レンゴクのクローがそれを受け止めた。


「……選手交代だ……!!」


サキのレギオンΩは、ゆっくりと刀を構え直した。



「こっちも剣でいくぜ!!《大炎剣》!!」


高温の炎が巨大な剣の形に形成された。


元はエーテルだが、熱による物理的斬撃効果も併せ持つ大剣。


純粋なエーテル攻撃が効かないレギオンΩへの対策として、烈が編み出した新スキルだった。


だが、通用するかどうかは、使ってみなければ分からない。


武器を構えた両者の間に、僅かな静寂が流れる。


先に動いたのは、レンゴクだった。


背中のロケットブースターを噴かし、勢いよく斬りかかる。


レギオンΩは斬撃をかわし、突きでレンゴク本体を狙う。


レンゴクは紙一重で回避し、大剣を薙ぎ払うように横へ振る。


レギオンΩは姿勢を低くし、ギリギリで避けつつ、刀を逆手に持ち替えて脚部を斬りつけた。


レンゴクはすぐに後退するが、わずかな斬撃痕を残される。


よく見ると、レギオンΩの片方のアンテナも斬り落とされていた。


《大炎剣》は、確実にレギオンΩへ届いていた。


だが、烈は焦っていた。


烈のエーテル容量は、ファクターズの中で最も少ない。


その分、回復速度は最速だが――

短期決戦向きで、長期戦には向かない。


(やべぇ……!通用するのは分かったが、消耗が予想以上に早えぇ……!)


新スキル《大炎剣》も、まだ練度が浅く、消耗が激しかった。


レンゴクは、荒々しくレギオンΩへと突進する。


『烈! 焦りすぎよ!』


カリンにも、その焦りは見えていた。


サキは適度に距離を取りながら、

カウンターで少量ずつだが確実にダメージを与えていく。


そして――

ついに《大炎剣》は消えた。


烈は慌ててクローを展開するが、レギオンΩはすでに背後を取っていた。


致命傷こそ避けたものの、鋭い斬撃がレンゴクの背面を襲う。


これまでのダメージの蓄積、そしてエーテル切れ。


レンゴクは、明らかに弱体化していた。


たとえファクターのエーテルが尽きても、エーテルコンデンサーが

予備バッテリーのように機能するため、動力そのものに問題はない。


しかし、スキルや機体強化は、ファクターのエーテルに依存しているため、今の状態では、どちらも使えない。


(くそっ……!完全に、俺の判断ミスだ……!)


烈は、心の中で強く後悔した。


その時――

ヒロシマ基地上空へと近づく、日本軍のキャリアの姿があった。

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