表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エーテルコード  作者: エトコッコ
第6章:律動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/50

第4話「鉄の心臓②」


レンゴクのモニターが、サキのレギオンΩを捉えた。


上空から、猛スピードで接近してくる。


レンゴクはクローを展開、口部を大きく開き、キャノンの射撃体勢に入った。


そして、強力なエーテル弾を放つ。


咆哮のような音とともに放たれた一撃は、一直線にレギオンΩへ向かう。


しかし、それを最小限の動きでかわされる。


サキは、レギオンΩの両腰からナイフを引き抜き、一気にレンゴクとの距離を詰めた。


ナイフをクローで受け止めるレンゴク、激しい火花が散った。


至近距離から、再びキャノンを発射。


しかし、それも避けられてしまう。


レギオンΩは一旦上空へと上がり、距離を取った。


サキのレギオンΩは、ヴァルキリー・ギアに特化した、空中戦を最も得意とする“麗鳥”の異名を持つサキに相応しい機体だった。


一方、レンゴクはビーストスタイルを主とする地上戦特化型の機体。


両者のコンセプトは、正反対。


だが、レギオンΩは近接戦しか仕掛けてこない。


つまり、必ずレンゴクの間合いまで踏み込んでくる。



上空のレギオンΩに、沖田小隊のツキガゲが、スナイパーライフルで狙撃を仕掛けた。


正確な弾道——

しかし、軽々と回避される。


だが、避けた先を読んで別のツキガゲが同時に狙撃。


サキはナイフに角度をつけ、弾くというより、流すように弾道を逸らした。


サキはモニターで、弾が飛んできた位置から狙撃者を割り出す。


だが、そこにはスナイパーライフルだけが設置された状態で残されていた。


サキは冷静だった。


ツキガゲのステルス性を考えれば、むしろ当然の結果だ。


それよりも、レギオン部隊の援軍として到着したはずのサキは、部隊がすでに全滅していることを気にしていた。


任務では、生き残った兵を撤退させるはずだった。


天華の見立てでは、サキが到着する時点で、最低でも4機は健在とされていた。


つまり、想定よりも早い段階で壊滅していた。


レンゴクが、その戦闘に関与していないことはモニターで分かっている。


(なるほど……ハート、か)


サキは、レンゴクとは別方向にいるザンテツ、そして二方向から狙撃を仕掛けてきたツキガゲ。


それらが“ハート”であることに気づいた。


サキは、レンゴクではなく、真っ直ぐにザンテツへ向かう。


おそらく、あれが隊長。

頭を潰せば、指揮は乱れる。


そう判断した。


『…勝負ッ!!』


沖田のザンテツは、刀を構えて迎え撃つ。


レギオンΩとザンテツは、激しい斬撃の応酬を繰り広げた。


(すげぇ……!! 正面から……!!)


烈は、驚愕しながらそれを見ていた。


その瞬間、レギオンΩに複数のワイヤーが絡みつく。


ステルス状態のツキガゲ2機から放たれたものだった。


一瞬、動きが鈍るレギオンΩ。


その隙を逃さず、ザンテツの刃がコクピットを貫こうと迫る。


しかし、サキは流れるように突きを回避。


同時に、両手のナイフをそれぞれツキガゲへ投擲した。


ナイフは正確に、ツキガゲのコクピットを貫く。


『麻倉ァ!! 天城ィ!!』


沖田が部下の名を叫ぶ。


体勢を立て直し、再び斬りかかるが、刃が届く前に刀を弾かれた。


弾き上げられ、空中を舞う刀を、レギオンΩが掴む。


そして、ザンテツを斬り裂こうとした。


だが、レンゴクのクローがそれを受け止めた。


「……選手交代だ……!!」


サキのレギオンΩは、ゆっくりと刀を構え直した。



「こっちも剣でいくぜ!!《大炎剣》!!」


炎のエーテルが巨大な剣の形に形成された。


熱による物理的斬撃効果も併せ持つ大剣。


純粋なエーテル攻撃が効かないレギオンΩへの対策として、烈が編み出した新スキルだった。


だが、通用するかどうかは、使ってみなければ分からない。


武器を構えた両者の間に、僅かな静寂が流れる。


先に動いたのは、レンゴクだった。


背中のロケットブースターを噴かし、勢いよく斬りかかる。


レギオンΩは斬撃をかわし、突きでレンゴク本体を狙う。


レンゴクは紙一重で回避し、大剣を薙ぎ払うように横へ振る。


レギオンΩは姿勢を低くし、ギリギリで避けつつ、刀を逆手に持ち替えて脚部を斬りつけた。


レンゴクはすぐに後退するが、わずかな斬撃痕を残される。


よく見ると、レギオンΩの片方のアンテナも斬り落とされていた。


《大炎剣》は、確実にレギオンΩへ届いていた。


だが、烈は焦っていた。


烈のエーテル容量は、ファクターズの中で最も少ない。


その分、回復速度は最速だが、短期決戦向きで長期戦には向かない。


(やべぇ……!通用するのは分かったが、消耗が予想以上に早えぇ……!)


新スキル《大炎剣》も、まだ練度が浅く、消耗が激しかった。


レンゴクは、荒々しくレギオンΩへと突進する。


『烈! 焦りすぎよ!』


カリンにも、その焦りは見えていた。


サキは適度に距離を取りながら、カウンターで少量ずつだが確実にダメージを与えていく。


ついに《大炎剣》は消えた。


烈は慌ててクローを展開するが、レギオンΩはすでに背後を取っていた。


致命傷こそ避けたものの、鋭い斬撃がレンゴクの背面を襲う。


これまでのダメージの蓄積、そしてエーテル切れ。


レンゴクは、明らかに弱体化していた。


たとえファクターのエーテルが尽きても、エーテルコンデンサーがあるため、動力そのものに問題はない。


しかし、スキルや機体強化は、ファクターのエーテルに依存しているため、今の状態では、どちらも使えない。


(くそっ……!完全に、俺の判断ミスだ……!)


烈は、心の中で強く後悔した。


その時——


ヒロシマ基地上空へと近づく、日本軍のキャリアの姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ