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エーテルコード  作者: エトコッコ
第6章:律動

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第3話「鉄の心臓①」


烈とレンゴクを乗せたキャリアは、ヒロシマ基地付近の上空にいた。


ヒロシマ基地からの援軍要請。


相手は天華連盟――つまり、強化兵だ。


カリンによるサポートはあるものの、今回の任務は烈の単独出撃となる。


『オルフェです。まもなく予定地点へ到着します』


カリンが、ヒロシマ基地へ通信を入れる。


『こちらヒロシマ基地。ご協力、感謝します』


基地の男性オペレーターが応じた。


烈はキャリアのモニターで、戦況を確認していた。


日本軍

・ザンテツ 1機(有人機)

・ツキカゲ 2機(有人機)

・ブロックス 3機(無人機)


天華連盟

・レギオンα 2機

・レギオンβ 2機

・レギオンγ 1機


数だけを見れば拮抗しているが、烈が到着するまでに、すでに多数のレギオンが撃墜されていた。


――つまり、日本軍が圧倒的に有利だった。


それもそのはず。


有人機であるザンテツとツキカゲ2機、計3機で編成された“沖田小隊”の存在。


無人機が主流となった現代において、個人所有機や強化兵用のレギオン、EDやDDといった特別な理由がない限り、有人機に乗るハートは、いわばプロ、あるいはエースを意味する。


そんなハートのみで編成された沖田小隊は、当初は倍近い戦力差があったにもかかわらず、レギオン部隊を圧倒していた。


ここまでならオルフェの援軍は不要だった。


だが、問題は別にあった。


天華側の援軍、紫の新型レギオン。


すなわち、サキのレギオンΩが、単独でこちらに向かっていた。


烈の任務は、そのレギオンΩを抑えることだった。



烈はレンゴクに搭乗し、出撃準備を整えた。


「こちら烈。いつでもいけるぜ」


カリンへ通信を入れる。


『まだ待機してて』


カリンはそう告げ、ヒロシマ基地のオペレーターとやり取りを続けていた。


烈は、何気なくその会話を聞いていた。


『……ご存じとは思いますが、“ΩおよびDDを含む未確認兵器”への対応は、すべてオルフェの管轄と決定しています』


カリンは冷静に告げる。


DDやレギオンΩといった特殊機体は、オルフェの担当――

それは、軍事法案によって正式に定められたばかりだった。


“毒を以て毒を制す”。


そう考えれば、自然な流れでもある。


これにより、自衛目的以外の出撃には軍の許可が必要となったが、

DDやレギオンΩの反応が確認された場合に限り、オルフェの判断のみで出撃が可能となった。


本来なら、ヒロシマ基地の援軍要請は必要無いのだが、新法案はまだ現場に十分浸透していなかったのだろう。


カリンが説明している相手――

それは、ザンテツのハート、沖田隊長だった。


『……気に食わんな。我々は、ただの露払いか?』


沖田は、新法案に強い不満を抱いていた。


――特殊機体が現れたら、オルフェに任せて撤退する。


前線で戦い続けてきた沖田にとって、それはハートとしての誇りに関わる。


まして、オルフェのファクターズは、まだ10代の子供達。


子供に任せて、大人が退くのか?


沖田は、どうしても納得できなかった。


『沖田小隊の実力に、文句をつける人はいません。ただ、相手が普通じゃないんです!』


男性オペレーターが声を上げた。


『普通の相手としか、我々は戦わぬとでも?』


沖田は、残りのレギオンを斬り伏せながら言った。


『最終的な判断は、現場に任せます』


カリンは淡々と告げる。


『……ブロックスは撤退させますよ?』


男性オペレーターも続けた。


『無論だ』


沖田は、レギオンを貫いた刀を引き抜きながら答えた。


その時点で、レギオン部隊はすでに全滅していた。



そんなやり取りを、烈は黙って聞いていた。


(……確かに。さすがハートだ。あの実力、伊達じゃねえ……)


キャリアのモニターに映る沖田小隊の戦闘は、ファクターズとは違う方向性の強さ――

人間としての強さを感じさせるものだった。


正直、味方にいてくれたほうが、どれだけ心強いか分からない。


相手は、あのレギオンΩ。


1人でどこまでやれるのか――

そんな不安が、胸をよぎる。


もっとも、烈が単独で選ばれたのは、それだけの評価を受けている証でもあった。


『烈、そろそろ出撃を』


カリンの冷静な声が響く。


烈はハッとして、キャリアのハッチへと向かう。


『烈、倒すことなんて考えなくていい』


カリンは、冷静にそう言った。


「……へっ! なら、倒しちまうかもな!」


烈は強がってみせた。


カリンは、わずかに微笑んだ。


『レギオンΩ、ヒロシマ基地到達まで、あと5分』


「いくぜ、レンゴク!」


レンゴクは、キャリアから飛び出した。

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