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エーテルコード  作者: エトコッコ
第5章:交流

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第4話「救出②」


4機のツキカゲ・夜叉に取り囲まれた、バサラヲとレンゴク。


そのうちの1機から通信が入った。


『……よく気づいたな』


閃は周囲を警戒しつつ、答えた。


「そんな子供だましに引っかかるかっつの」


さらに言葉を続ける。


「それに、あんたら影忍隊じゃないだろ。さっきの奴も含めて、全員“強化兵”だ」


『……賢いじゃないか』


閃の中では、全ての辻褄が合っていた。


おそらく、救援要請が出た時点では、彼らは本当に日本軍だった。


だがその後、天華の強化兵に襲われ、機体と識別プレートを奪われた。


もう1機の有人機は、カモフラージュのためにあえてそのまま撃破。


ファクターズより先に合流地点へ到着していた影忍隊は奇襲を受け、機体を強奪される。


そして影忍隊になりすまし、ファクターズの始末に向かった。


閃が違和感を覚えたのは、中破したザンテツと他の機体との損傷差だった。


コクピット周辺だけが不自然に無傷。


ハート本人にも外傷はない。


それなのに、心肺機能だけが著しく低下していた。


何らかの装置を使い、自ら心臓発作を引き起こしたのだろう。



さらに決定的だったのは、“他の連中は?”という不自然な言葉。


本来なら、自分ともう1人のハートしかいないはずの状況で、あの問いはおかしい。


そして、確信に変わったのは、ツキカゲ・夜叉がステルス状態で接近してきたことだった。


この違和感は、烈も同時に感じ取っていた。


あえて背を向けたのは、相手の油断を誘うため。


リストガンに気づけたのも、ドローンのカメラに映った反射を確認していたからだ。



「元のハートは、どうしたんだよ……!」


烈が低く問いかける。


『……さぁな』


強化兵の1人が、淡々と答えた。


閃は烈に告げる。


「烈。相手はほぼ間違いなくγクラスだ。確実に“殲滅”する」


「了解!!」


殲滅——それは、ハートを含め完全に撃墜するという意味だ。


その直後、上空でライトを照らしていたキャリアが撃墜された。


同時に、2つの斬撃がバサラヲを襲う。


それらを間一髪でかわし、反撃に転じるが、敵影はすでに消えていた。


上空から、キャリアの残骸が降り注ぐ。


2機は即座に分かれ、それぞれ回避行動を取る。


その残骸の中に、敵が紛れていると読んでいた。


閃はエーテルを集中させ、機体を発光させた。


簡易的な“ライト”代わりだ。


暗闇で自らを光らせる行為は、本来なら自殺行為だが、すでに居場所が割れている以上、視界を確保する方が賢明だった。


敵の想定では、まず閃をEDから引き剥がし、4機でレンゴクを仕留める算段だったはずだ。


仮にED戦になったとしても、夜間の森林地帯は、ツキカゲ・夜叉が圧倒的に有利。


さらに、スキルを無闇に使えば二次災害で森が火の海になる。


すぐに消火可能な怜と音が不在なのも、織り込み済みだったのだろう。


先ほどから通信だけを仕掛け攻撃してこないのは、精神的に揺さぶるための“間”を作り、焦らせるためだ。


状況だけ見れば、閃たちが不利だった。



バサラヲの背後から、1機の機体が静かに迫る。


一気に距離を詰め、ブレードを突き立てた。


しかし、狙いは外れていた。


次の瞬間、逆にコクピットが背後から正確に貫かれた。


閃は、キャリアが撃墜された瞬間に《電影》を発動していた。


このスキルにより、敵のセンサーは誤作動を起こしていた。


そして、烈は自身に迫っていたもう1機を即座に捕捉し、クローを突き出した。


「ぐっ!!」


敵は体勢を変え、辛うじて回避する。


しかし、レンゴクの顎部が開き、キャノンを発射する。


威力は抑えたが、至近距離でコクピットに直撃し撃墜。


すでに2機が沈黙していた。



2人は一転して、エーテル出力を完全に落とした。


《電影》の影響も相まって、敵のレーダーには映っていない。


先ほどの発光は、敵を誘導するための罠だった。


(……距離を取ったか?)


強化兵は目視で周囲を探るが、異変は見えない。


(……だが、反応がないからといって、完全に停止しているとは限らん……)


次の瞬間、レーダーに極めて微弱な反応。


即座にその地点へ向かった。


しかし、そこにあったのは、ブロックスの残骸だった。


(!? しまっ……!!)


気づいた時には、残骸に隠れていたレンゴクのクローが、コクピットを貫いていた。


2機のEDは、終始出力ゼロ。


レーダーに映っていた反応は、閃がブロックスの残骸に、僅かに《送電》を施し、囮にしていたものだった。


最後の機体が、目の前に姿を現す。


『予想以上だよ、ファクターズ』


バサラヲとレンゴクは、静かに武器を構えた。


『こうなる事態に備えて、元のハートたちは人質として——』


言い終える前に、バサラヲの刀が高速でコクピットを貫いた。


烈は冷静にそれを見届ける。


「信じられるかよ。お前らの言うことなんて……」


閃は刀を引き抜き、冷たく言い放った。



「……終わったな」


烈が呟く。


その瞬間、オルフェから鬼のように通信が入り続けていた。


閃が回線を開くと、リオの声が飛び込んできた。


『2人とも無事!?』


閃は、順を追って状況を説明した。


キャリアの反応が消えた時点で、すでに別のキャリアを手配していた。


そこには東と光井と、各トルーパーも一緒だった。


後日、日本軍の救出隊が影忍隊やブロックスのハートを発見したが——すでに全員、殺害されていた。

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