表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エーテルコード  作者: エトコッコ
第1章:ファクターズ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/38

第2話「消えない火種」


オルフェ研究機関・訓練エリア。


閃と怜は、ファクターズ専用の訓練を終えたばかりだった。


「どう? 新しい“エーテルスキル”《雷導》」


閃がソファにごろんと寝転がる。


「…いいんじゃない?」


怜は向かいのソファに座って、淡々と答えた。


「怜も新しいスキル、考えてる?」


「…ちょっと凝ったの考えてる」


「へぇ〜」


2人はタオルで汗を拭きながら軽口を交わしていた。


その時、訓練エリアに付いているモニターから声がした。


『閃ちゃん、れーにゃん、おつかれ様ー』


オペレーターのリオの声だ。


宝生 リオ。通称「リオっち」。オルフェ研究機関のオペレーター。明るくフレンドリーな性格で皆から親しまれている。


「お、リオっち。何?」


『ぼちぼち2人は待機しといてね〜』


「了解」


怜が短く答える。


『何かあったらすぐ連絡するから……何も無いといいんだけどね』


通信が切れた。


「……ホントにね」


閃がぼそりと呟く。


怜も静かに頷いた。



同じ頃——市街地。


烈と音は、オルフェ専用のエレカに乗ってパトロールしていた。


「今日も静かだな」


烈が窓の外を眺めながら言う。


「うん、平和だね」


音が穏やかに微笑む。


エレカはAI自動運転で、ゆっくりと街を巡回していた。


買い物客や通勤する人々が行き交い、平和そのものの景色が広がっている。


だが、烈の目だけは警戒を緩めていなかった。


ファクターズの任務は主に4つ。


・エーテル保有者を狙った犯罪の予防と対処。

・救助活動。

・違法なSD戦闘の鎮圧。

・日本軍からの応援要請。


世界的には大規模な戦争は終わったとされているが、個人レベルの争いは今も続いている。


特に軍事大国“ 天華”の同盟軍——“天華連盟”が裏で支援する組織は、日本国内でもたびたび問題を起こしていた。


「……あれ?」


音が眉を寄せ、窓の外を見つめた。


「どうした?」


「なんか……風が、変な感じ」


音は、空気の乱れを感じ取った。


烈もその方向に視線を向けた。


その瞬間——


ドォンッ!!


遠くで爆発音が響いた。

黒煙が上がる場所。第10区画の商業地区中心部だ。


「リオっち、状況は!」


烈がスマカで呼びかけると、すぐに応答が返ってきた。


『こちらリオっち! 第10区画でSD2機の戦闘を確認! 2人は民間人の避難誘導を優先して!』


「了解!」


エレカが急加速。

AI運転が緊急モードに切り替わり、最短ルートへ切り替える。


「またかよ……!」


烈が苦々しく呟く。


「……わたし達は、やるべき事をやろう」

音が静かに言った。



数分後、2人は現場に到着した。


商業地区の中心で、2機のSDが互いに武器を構えて対峙していた。


深茶色の“ブロックス”。

アメリカ製の汎用SD。


青灰色の“クリューガー”。

ドイツ製の重装型SD。


どちらも旧式だが、無人機ではなく有人機。


さらに、カラーリングも正規のものではない。


「また有人か……」


烈が舌打ちをする。


無人機なら容赦なく破壊できるが、有人機は中の人間を殺さぬよう戦わないといけない。


音は風のエーテルを広げ、民間人に呼びかける。


「ファクターズです! こちらへ! 急いでください!」


人々が慌てて走り去る。


その間に、SD同士の戦闘が激化した。


ブロックスがアサルトライフルを構え発砲。


クリューガーは盾で受け止め、火花が散る。


「せめて、市街地ではやるなよ……!」


烈の声は届かない。


クリューガーが盾を構えたまま突進。

ブロックスが受け止めきれず、ビルの壁へ叩きつけられた。


ガシャァンッ!!


崩れた壁の破片が、人々へ降りかかろうとする。


「っ——!!《エアフィールド》!!」


音のスキルが風の壁を作り、破片を弾き返した。


その光景を見ていた烈は、歯を食いしばった。



館内アナウンスが入った。


『第10区画で有人SD2機が交戦中! 烈と音だけじゃ対応しきれない! すぐに出撃を!』


「了解!」


閃と怜は同時に立ち上がる。


2人はトレーニングウェアを脱ぎ、黒いタンクトップとショートパンツの“フォーム”姿になる。


黒地に各ファクターのラインカラーが入る、露出の多い“ファクター専用のパイロットスーツ”。


“エーテル干渉を避けるため、肌に近いほど効率がいい”。

——研究結果とはいえ、最初は誰もが抵抗があった。


ただ、非常に軽装のため、ファクターズは普段から制服の下に着込んでいた。


すぐに戦闘準備に入るためである。



オルフェ研究機関・格納庫。


閃と怜は2機の“エーテルドール”、通称EDに乗り込み、意識を集中させる。


エーテルの光が、EDの全身を駆け巡る。


雷の武士、“バサラヲ”。

氷の巫女、“シラユキ”。


2機のEDが射出され、空へと飛び立った。



市街地。


烈と音は避難誘導を続けていたが、SDの動きは止まらない。


ブロックスが再びライフルを構える。

クリューガーも突進の構え。


その瞬間——


ゴォォォッ!!


空から、轟音とともに影が降下してきた。


烈と音が顔を上げる。


雷の輝き。氷の煌めき。


バサラヲとシラユキが、今、戦場へと降り立とうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ