第6話「完全同調」
リーアとの死闘の末、シラユキはすでに満身創痍だった。
怜も息が荒く、身体中が痛んでいた。
「アンタ、結構やるねぇ」
リーアは軽口を叩いた。
それは皮肉ではなく、たったひとりでここまで粘られたことに、純粋に驚いていた。
怜はそれでも歯を食いしばる。
「まだ……終わってない!!」
ボロボロのシラユキは再びジャベリンを構え、突撃する。
しかし――
レギオンΩの一撃で、あっさり地面に叩きつけられた。
続けざまに踏みつけられ、金属と骨が軋むような、痛々しい悲鳴が響く。
「ぐっ……!!」
怜の声に、カリンも歯を噛み締めて耐えていた。
ついに、閃の限界が切れた。
バサラヲが雷をまとって駆け抜け、レギオンΩへ斬撃を放つ。
だが焦りからか、その動きは明らかに冷静さを欠いていた。
攻撃は簡単に受け止められ、逆に強烈なカウンターを受け、壁へ叩きつけられる。
レギオンΩは標的をバサラヲへ変え、飛びかかろうとしたが、シラユキがその脚を掴んだ。
「……行かせない……!!」
怜はもう限界のはずだったが、それでも必死に足を止める。
だがレギオンΩはシラユキを蹴り飛ばす。
リーアの苛立ちは限界に近かった。
本来ならもう任務を終えて帰国している時間だ。
「時間外労働って、マジで嫌いなんだよね、ウチ」
そんな時、弾丸が飛んできた。
リーア機は避ける必要もなく、それを装甲で堂々と受け止めた。
4機のトルーパーが射撃しながら接近していた。
ついに、リーアのストレスが爆発した。
「……邪魔」
一瞬で距離を詰め、4機まとめて吹き飛ばした。
そしてバサラヲへ向かおうとした瞬間――
再びシラユキが飛びかかった。
「しつこいっ!!」
レギオンΩはシラユキの頭を掴み、そのまま地面に叩きつけた。
怜はその衝撃に耐えきれず、気を失ってしまった。
「怜……!!」
閃はバサラヲを無理に起こすが、ふらつきがひどい。
そこへみのり機が“スタンロッド”で突撃するも、逆に叩き伏せられ失神する。
「みのり!!」
次は東機が“超硬装甲切断刀”を手に突撃。
光井機はアサルトライフル、アンジュ機はスタンワイヤーで援護する。
しかし、すべてかわされ、東とアンジュも一撃で戦闘不能に。
光井だけが辛うじて意識を保っていた。
閃は叫んだ。
「ミチ!!皆を連れて下がれ!後は俺が――」
だが光井は言うことを聞かない。
「そんなこと、できるかよ……!」
リーアが光井を一瞥した。
「はぁ、ウチで良かったね。メルなら多分、今頃皆殺しだよ?」
軽く叩きつけられ、光井も倒れる。
「一応ね、ターゲット以外は殺さない主義なの、ウチ。」
そして閃へ向き直る。
「んで、今日のターゲットはアンタ。アンタが死ねば、ウチは帰る」
その言葉に光井が叫ぶ。
「……ふざけんな……!!閃も、誰も殺させねぇ……!!」
リーアは光井の方に向いた。
「じゃ、アンタが代わりに死ぬ?」
光井は一瞬だけ閃を見る。
そして――
覚悟を決めた瞳で言った。
「俺の命で済むなら……そうしろ!!」
「バカ!!やめろミチ!!」
閃は叫んだ。
(くそっ……!!カッコつけて送り出しといて、このザマじゃ……烈にも、美晴さんにも……顔向けできない!!)
そんな事を考えていた時、光井から通信が入った。
『閃……後は……頼んだぜ……!!』
レギオンΩの攻撃が光井に迫る。
――その刹那
光の粒子を纏ったバサラヲが、光井とレギオンΩの間に割って入った。
普段のエーテルとはまた違った、圧倒的な輝き。
それをモニター越しに見ていた牧が、細い目を見開いた。
「まさか……“完全同調”……!?」




