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エーテルコード  作者: エトコッコ
第4章:分岐

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第1話「援軍」


上空。

オルフェのエレキャリアは、ある地点へ向かっていた。


——約1時間前。

オルフェに、日本軍から正式な“支援要請”が入ったのだ。


オーキュラムでも反応を捉えていたが、今回天華連盟が狙っているのはオルフェではない。


日本軍の軍事基地——カゴシマ。


オルフェは自衛目的以外の出撃には、国の許可が絶対条件。


だから、要請が届くまでは出ることすらできなかった。


烈と怜が不在のため、出撃したのは閃と音の2人だった。


エレキャリア内部には、バサラヲとツムギが固定されている。


日本軍の報告によれば——

・レギオンα:3機

・レギオンβ:2機

・レギオンγ:1機

そして、ライトピンクの新型:1機

合計7機。


オーキュラムも同じ反応を示していた。



エレキャリア内。


音は落ち着かない表情で、膝の上の手をぎゅっと握りしめていた。


前回の戦闘——

馬乗りにされ、滅多打ちにされた時の恐怖。


そして、自分を殴りながら笑っていた、あの少女。


音の記憶は昔まで遡る。


泣いても、嫌がっても笑われた——いじめられていた頃の、自分。


そんな音の様子に気づき、閃は黙って隣に座り、そっと手を握った。


「大丈夫。俺がついてる」


閃は優しく微笑む。


「それに……俺には音がついてる」


自然体の笑顔に、音の不安がふっと消えた。


「……ありがとう、閃くん。こうやって手を握ってもらうの……久しぶりだね」


音が少し照れたように言う。


「初めての実戦の時だったよな」


閃も懐かしそうに返した。


「あの時は皆、色違いのトルーパーだったね」


「そういや、まだ残ってんのかな?」


「能勢さんが“予備機として保管してる”って言ってたよ」


そんな他愛もない会話をしながら、音はそっと閃の肩にもたれていた。



日本軍・カゴシマ基地。


天華のレギオン部隊と、日本軍の無人SD部隊が激しく交戦していた。


日本軍の戦力は——

・ザンテツ2機:前衛

・ブロックス6機:中衛・後衛

いずれも無人機。


対するレギオン部隊は——

・βチーム:前衛

・αチーム:中衛・後衛

・γクラス:指揮


その様子を、メルのレギオンΩは少し離れた上空から見下ろしていた。


「も〜。何で“ノーブレイン”相手に手間取ってんのよ」


“ノーブレイン”——

全ての無人SDに搭載されているAI、ブレインを皮肉ったスラング。


“ パターンに従うだけの能無し”という意味だ。


メルが呆れていると、γクラスから通信が入る。


『メル隊長、申し訳ございません! 新兵の訓練も兼ねておりまして……!』


「隊長ゆーな」


メルの声が低くなる。


『しっ、失礼しました! “メル姫”!!』


「よし」


満足したらしい。


そうしていると、メルの視界の遥か遠くに、点が2つ見えた。


レーダーには反応が無い。

しかし——メルは本能で理解した。


「おっ? 来た来た♡」


『?ファクターズの反応はありませんが……』


γクラスが不思議そうに言う。


「あいつらにレーダーなんて役に立たないっつの」


メルは素っ気なく答えた。



カゴシマ基地から大きく離れた空域。


エレキャリアから降下する、バサラヲとツムギ。


レーダーに映らないよう、遠距離から降ろすのが定石だ。


閃は《電影》を展開し、2機を包み込んでいた。


微弱な電磁場を展開し、敵レーダーや索敵をかき消すスキル。


SDにもレギオンにも反応は一切映らない。


上空を滑りながら、閃は戦況を確認した。


——SD部隊

ザンテツ:1機撃墜

ブロックス:3機撃墜

残り4機


——レギオン部隊

βクラス:1機撃墜

残り5機+メル機

合計6機。


バサラヲは手を伸ばし、《雷散》を放つ。


広範囲に電撃ををばらまくスキル。

他の攻撃スキルに比べ、威力は落ちるが、足止めには十分だった。


雷撃が降りそそぎ、レギオン部隊を襲った。


唯一、γクラスだけが間一髪で回避し、すぐに距離を取る。


閃はバサラヲのウェポンラックからアサルトライフルを抜き、雷のエーテルを付与。


雷を帯びた弾丸は凄まじい威力と速度で、レギオン部隊を次々に撃ち抜いた。


音もツムギのガンブレードを抜き、エーテル弾を連射。

こちらも直撃し、レギオンを撃墜していく。


バサラヲとツムギが地面に着地した時には——


メルとγクラスを除くレギオンは全滅していた。


その光景に、γクラスは震えながら呟く。


「こ、これが“魔術師ウィザード”の力……」


魔術師ウィザード”。

特異な外観に加え、魔法のような技を使用してくる、EDに付けられた異名である。


そして、メルのレギオンΩが、2人の元へゆっくりと接近して行った。

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