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エーテルコード  作者: エトコッコ
第3章:Ωの脅威

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第5話「歴史」


天華連盟・司令室。


オルフェに続き、イシュタールをも襲撃した天華連盟。


ジョウは、ΩチームとレギオンΩの戦果に、確かな手応えを感じていた。


——今から約50年前


技術とエネルギー分野の加速的な進歩により、各国の覇権争いが勃発した。


SDも、本来はそのために開発された兵器である。


争いはおよそ20年近く続いた。


情勢は不安定なまま各国は疲弊し、技術も均衡。


勝者のいない膠着状態に陥る。


そして世界規模で「和平へ向かうべきだ」という流れが強まり、小規模な停戦協定が複数結ばれていった。


しかし、天華だけがそれを拒否した。


そして、“エーテルコード”——

太古より存在していたとされる彼らは、戦いの道具としての利用され、差別や迫害の対象となっていた。


さらに、人々の間ではこう言われるようになった。


“ 古代より、エーテルコードはいつの時代も争いの渦中にいた”と。


一方、天華はあくまで“本来の人間の在り方”にこだわっており、エーテル否定派である。


もっとも、「道具や兵器として利用する価値はある」というどこか矛盾した思想だった。


オルフェやイシュタールなど、エーテルを利用する勢力に対抗するために生み出された究極の強化兵“Ωクラス”。


そして、あらゆる最新技術を詰め込んだ“レギオンΩ”。


これさえあれば、全面戦争などしなくても、“見せつけるだけで”世界を制することができる。


ジョウは、そう確信していた。



天華連盟・格納庫。


リーアと技術者が、各レギオンΩのチェックをしていた。


「問題なし。“ギア”も良好っ♪」


リーアが軽い調子で言う。


技術者が苦笑しながら答えた。


「いやぁ……“ギア”が良好っていうより、これを使いこなしてる御三方が凄すぎるんですよ……」


リーアたちが口にする“ギア”。


それは、レギオンΩに共通して搭載されている空間重力制御システム“ヴァルキリー・ギア”のことだった。


ヴァルキリー・ギアとは——

エネルギーを局所的な重力干渉力へと変換し、機体周囲に微弱な反重力フィールドを形成、大型スラスター無しでの自由飛行を可能にした新型のシステムだった。


特に、空中戦を最も得意とする“麗鳥”の異名を持つサキの機体は、他の2機よりもさらに高性能にチューンされたものだった。


そして、ヴァルキリー・ギアとは別に、もう一種類の“ギア”が搭載されていた。



烈は自室でスマカをホロモニターモードにし、年配の女性と話していた。


『閃ちゃんとは、つい最近お話したよ。それに、相変わらず写真もいっぱい送ってくれて』


モニターに映る、柔らかい笑みを浮かべた女性——下沢しもさわ 美晴みはる


烈が生まれ育った児童養護施設「たんぽぽ荘」の設立者であり、管理者だ。


幼い頃に戦いに巻き込まれ孤児となった閃も、同じくここに預けられ、そして烈と出会った。


いわば2人は幼なじみでもあり、兄弟のような関係でもある。


そして美晴は、そんな2人にとってのお母さんだった。


閃はよく自分や烈だけでなく、ファクターズのメンバー、訓練生たち、テツやオペレーターの2人、カトちゃんこと加藤など、色々な写真をこまめに美晴へ送っていた。


中でも、なぜか一番多いのは“加藤とテツが戯れている写真”だという。


そのチョイスがいかにも閃らしいと、美晴は笑っていた。


「あぁ、確かにテツ、やたらとカトちゃんには懐いてんな」


烈は笑いながら答えた。


(同じ生き物だと思われてんのかな……カトちゃん)


『烈ちゃんも、いつも“手紙”ありがとうね。全部、大切にとってるよ』


美晴が、ふんわりとした声で言う。


「ロ、ローカル語の勉強ついでだし! ぜってぇ誰にも言うなよな! 特に閃には!」


烈は、あからさまに照れながら言った。


『わかってるよ』


美晴はくすっと笑って頷いた。


烈は、少し真剣な顔つきになる。


「それはそうと、美晴さん。体調……大丈夫かよ」


最近の美晴は、体調を崩しがちだった。


『大丈夫だよ。心配しなくていいよ。落ち着いたら、閃ちゃんと一緒に帰っておいで。もしよかったら、怜ちゃんや音ちゃんにも会ってみたいわ』


美晴は、相変わらず穏やかな笑顔を崩さない。


「あぁ。結菜さんとチビたちにも、よろしくな」


結菜ゆいなは、美晴の娘で現在は美晴と共にたんぽぽ荘を切り盛りしている。


そこには、今も10人の子どもたちが暮らしていた。


『結菜も子どもたちも、みんな会いたがってるよ。電話、ありがとうね』


「おう。じゃあな」


烈はそう言って、ホロモニターを閉じた。


(……いつ帰れっかな……)


ベッドに仰向けになり両手を頭の後ろに組みながら、烈は静かに天井を見つめていた。

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