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エーテルコード  作者: エトコッコ
第3章:Ωの脅威

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第3話「嵐の素顔」


オルフェ研究機関・地下4階。

帰還したファクターズのEDが、次々と整備ドッグへ搬送されていく。


アームが伸び、損傷部位をスキャンしていく。


黒須と能勢はタブレットを手に、作業ログを確認していた。


上階の観覧デッキでは、ファクターズ4人がフォーム姿のままドリンクを飲んでいた。


音がぽつりと言う。

「……わたしって、マヌケ面なのかな?」

(ちょっとだけ見た目には自信あったんだけど……)


怜がすぐに否定した。

「それはないわ」


烈が続ける。

「……ツムギのこと言ってたんじゃね?」


「え、ツムギってマヌケ面なの?」

音はさらに困惑する。


「いや……俺は思ってねぇよ?アイツにはそう見えたんじゃね?」

烈は気まずそうに答えた。


「それはそれでやだなぁ……」

音は肩を落とす。


閃が半目でぼそりと呟く。

「俺なんて“静電気”だぞ……」


怜が小さく呟いた。

「……静電気」


閃は見逃さなかった。

怜の口角が、ほんの1ミリ上がったことを。



オルフェ研究機関・作戦司令室。


大型モニターにはΩチームとの戦闘ログが映し出されていた。


エドワードとトーマスが並び、険しい表情で画面を見つめる。


「……やはりデモンストレーションですね」

トーマスが言う。


エドワードは顎に手を添えたまま答えた。


「ああ。『我々はいつでも、どこへでも殴り込める』という世界へのアピールだ。オルフェは、その舞台として利用された」


「今までとは明らかに一線を画す強化兵……そして新型レギオン。想像以上です」

トーマスの声は硬い。


エドワードは苦い表情で言う。

「……間違いなく“チャン”が絡んでいるな」


チャン・ルオ

元オルフェ研究員でもあり、精神工学・脳科学・薬物強化の天才と呼ばれていたが、成功のためなら倫理を踏みにじる男だった。


「イシュタール財団に天華連盟……事態は深刻になってきました」

トーマスが言う。


「——ファクターは“光”だ。いずれこの争いを終わらせる存在になる」


エドワードは静かに目を閉じた。



天華連盟・中央基地。


Ωチームは束の間のオフをそれぞれの場所で過ごしていた。


リーアは基地の通路を歩いていると、中年の兵士に肩を叩かれた。


「ようリーア!今から皆で飲みに行くんだ。おめぇも来るか?」


「んにゃ、今日はいいや」

リーアは手を振る。


「そうか!たまには付き合えよ〜!」

兵士は笑いながら去っていった。


リーアは基地を出て、夜の景色へふっと溶け込むように姿を消した。



見晴らしのいいベランダ。

サキは欄干にもたれ、スマカを耳に当てていた。


「……うん。大丈夫。フフッ」


その声は任務中とは別人のように柔らかい。


「……そろそろ切るよ。わかってる。私も、愛してるよ——レナ」


サキには同性の恋人のレナがいた。


2人は確かな愛を育んでいた。


通話を終えたサキは、夜空を見上げた。



薄暗い私室。

メルはモニターを前に大声を上げていた。


「オラァッ!!死ねッ!!死ねぇッ!!」


彼女はオンラインFPSゲーム、“KILL BREAK”のヘビーユーザーで、ランキングは常に上位だった。


ユーザー名は“気狂いウサギ”。

メルの異名、“狂兎”を元にしている。


部屋の隅には、可愛いぬいぐるみが裂かれ、破れ、無造作に捨てられていた。


——メルは先天的に重度の“キュートアグレッシブ”を持っていた。


可愛いものを見ると、傷つけたくなる。


それが彼女なりの愛情の形だった。


音に対し、異常な執着を見せた理由もそこにあった。


音はメルにとって、まさに“理想系の可愛い存在”だったのだ。



リーア、サキ、メル。

3人はすべて、チャンの “Ω計画” によって生み出された。


ファクターを超えるために設計された強化兵——通称Ωクラス。


その成功例が、この“Ωチーム”。


さらに3人には、Ω専用に作られたレギオンΩが与えられている。


天華の最新技術が集約された機体だ。


そして——


Ωチームの次なる標的は、イシュタール財団。


静かな夜の奥で、嵐がまた動き始めていた。

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