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エーテルコード  作者: エトコッコ
第2章:ゼクスト

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第6話「交差する想い」


戦闘から戻ったファクターズを、訓練生が出迎えた。


「すっげぇ! 完全に圧倒してたな!!」


光井が目を輝かせる。


「閃先輩、皆さん! めっちゃカッコよかったです!」


みのりが興奮気味に叫ぶ。


「戦術も連携も、見事の一言に尽きます」


東が真面目な顔で言う。


「アレ、もうちょっとで倒せてたんじゃね?」


アンジュも笑顔で続けた。


「はは、ありがと」


閃が軽く笑う。


——だが、その表情はどこか複雑だった。


怜も、烈も、音も——

同じように、晴れない顔をしている。


「ど、どうしたんだよ……?」


光井が不安そうに尋ねる。


「……あれだけの攻撃を食らってるのに、どれも決定打になってねぇ」


烈が冷静に言う。


「気絶すらしてなかったな。手加減したつもりはないのに」


閃も続けた。


訓練生は、その言葉に黙り込む。


もうひとつ、ファクターズの表情を曇らせている理由があった。


それは、イノの言葉だった。


◆◆◆


ヨハンとのやり取りがあった翌日。


ファクターズは、DD対策の作戦会議を開いていた。


だが、閃はどこか引っかかるものを感じていた。


「……何かあるなら、言いなさい」


怜が、じっと閃を見る。


「そうだ。らしくねぇぞ」


烈も腕を組みながら言った。


閃は、静かに口を開く。


天使型——

エンプティアの行動。


あれが、どうしても引っかかっていた。


閃の《雷撃》。

怜の《氷弾》。


それらを、エンプティアは能力で“上方向”へと逸らした。


「もし、攻撃の軌道を変えられるならさ。それを利用して、俺たちに返すことだってできるだろ?」


閃は続ける。


「それを、わざわざ真上に。しかも二度も。どうにも“周りに被害を出さないようにしてる”ように見えてさ」


烈も思い出しながら口を開いた。


「……あの不気味なエーテルも、ファクターからってより“DDの方”から出てたな」


音も、ぽつりと続ける。


「あのっ、実はね、わたしも……。鳥人型から精神攻撃を受けたとき、本当はすぐスキルで防げたの。でも、その攻撃の中に“罪悪感”みたいなものを感じちゃって……。それで、動揺しちゃって……」


話し合いを重ねるうちに、いくつかの仮説が浮かび上がっていく。


そして怜が、結論のように口を開いた。


「……だから、撃墜じゃなくて捕獲を提案したのね」


「そゆこと」


閃は頷く。


“ゼクストを無理やり戦わせているのか”と聞いたとき——


すでに閃の中には、疑念があったのだった。


◆◆◆


イシュタール財団・格納庫。


「ラフティアの尻尾は、ちゃんとくっつくから問題ないよぉ〜」


低く太い声が、のんびりと響く。


話しているのは、全身の皮膚が紫色に変色し、まるでフランケンシュタインを思わせる外見の男——Dr.アガレス。


恐ろしい見た目とは裏腹に、その口調は穏やかだった。


「“魔獣細胞”なら、多分二日もかからないんじゃないかなぁ〜」


魔獣細胞とは——

魔獣がもつ細胞を、Dr.アガレスが研究し、再現・改良した新しい細胞。


強靭さに加え、異常なまでの再生能力を持っている。


「そう。“D-core”の方も、特に異常はないわ」


ナンシーが端末を見ながら答える。


D-coreとは——

ナンシーが開発したDDの中枢コア。


用途としてはEDの“E-core”に相当するが、その構造はまるで別物だ。


魔獣細胞が自己進化を繰り返す中で生まれた、“ブラックマターの結晶体”。


それがD-coreの正体だった。


2人は、各機体の状態をチェックしていく。



イノは、先ほど閃と交わした会話の内容を、仲間たちに話していた。


アークも、クリスも、サムも。

誰もすぐには言葉を返せない。


全員の表情には、少なからず迷いや戸惑いが浮かんでいた。


ゼクストもまた、ファクターズと同じように揺れていた。


(第2章 完)

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