7話: 幻影の迷宮
因果断絶領域を抜けた慧と雫は、次の課題として現れた迷宮に立ち尽くした。
光と影が混ざり合い、足元の床は半透明で、歩くたびに自分の影と幻影が複雑に絡み合う。
「……ここもまた、単純な解析では突破できないな」
慧は眉をひそめる。分析者としての知識を駆使しても、この迷宮のルールは感覚に頼る部分が大きい。
「慧、私たちの直感を信じて」
雫の言葉に、慧は深く息を吸う。
目に映る幻影の影が、時に正解の道を隠し、時に誘導している。見極めなければ、進むべき道を誤ってしまう。
二人は慎重に歩みを進める。
影と光のわずかな差異を読み取り、直感で安全ルートを判断する。
慧は分析で補助し、雫は瞬間的な直感で危険を回避する。
迷宮の奥へ進むにつれ、幻影はさらに複雑化する。
他の参加者の行動が反映され、幻想が動的に変化するのだ。
「心理戦まで加わるのか……」慧は心の中で警戒する。
だが、二人の連携は確実に成果を生む。
直感で危険を避け、分析でパターンを割り出す。
一歩ずつ、迷宮の核心に近づいていく感覚――それは、緊張と同時に心地よい高揚感をもたらす。
やがて、最後の光点が収束し、迷宮全体が静止した。
「突破……した」
慧は小さく呟く。雫も微笑みながら頷く。
だが、二人の目の奥には、まだ見ぬ試練への警戒が光っていた。
幻影の迷宮は、異次元情報の深さと心理戦の奥行きを、静かに告げていた――。




