6話: 因果断絶領域
鏡界連鎖を抜けた慧と雫の前に現れたのは、時間と因果律が歪む広大な空間だった。
目に映るもののすべてが、過去と未来の断片を同時に映し出している。
光点は瞬時に現れ、消え、次の場所に再構築される。
「これは……過去も未来も、同時に存在している?」
慧は思わず呟く。解析者としての脳が、全ての情報を瞬時に整理しようとする。
しかし、情報量は膨大で、単なる計算だけでは追いつかない。
「慧、直感を信じて」
雫の言葉に、彼はハッとする。
この空間では、論理だけでは突破できない。直感と分析を融合させ、因果の連鎖を読み解くしかないのだ。
二人が慎重に進む中、床の光点が突然断絶し、未来予測情報が一瞬途切れる。
「これは……罠か、テストか」
慧は眉をひそめる。予測不能な因果断絶によって、どんな小さな判断も大きな影響を及ぼす。
雫は手を差し伸べ、微かな揺れから次の安全ルートを感知する。
「こっち……進むべき道はここよ」
慧は直感を尊重しつつ、分析で補助する。
一歩一歩が試される緊張の連続だ。
時折、過去の自分や他者の影が現れ、心理的な揺さぶりをかける。
二人は迷わず、直感と解析の融合によって出口を導き出す。
やがて、因果断絶領域の最深部に差し掛かると、光点が穏やかに収束し始める。
「突破……したのか」
慧の声に、雫も小さく頷いた。
しかし二人の背後には、まだ見えない次なる試練の気配が漂っていた。
異次元情報の複雑さは、増すばかり――。




