4話: 虚数の棋盤
多層記憶迷宮を抜けた慧と雫の前に、次なる課題が待ち受けていた。
広がる空間には、黒と白の光点が格子状に敷かれ、まるで巨大な棋盤のように見える。
「これは……棋盤?」
慧が確認すると、光点は静止しているようで、しかし微妙に震えていることに気づく。
一歩踏み出すたびに、周囲の光がわずかに変化し、次の一手を予測できない不安が胸を締め付ける。
「動かすたびに盤面が変わる……これは虚数の世界だ」
雫の瞳が光る。直感が告げる――この課題は単なる計算や解析では突破できない。
慧は冷静に格子のパターンを観察する。
「光点の揺れの周期……相関関係を見極めれば突破の糸口になる」
だが、同時に複雑な情報が入り混じり、誤った推測は罠に繋がることを悟る。
二人は互いに視線を交わし、無言で連携を取る。
慧の分析が方向性を定め、雫の直感が微細な変化を捉える。
一歩、また一歩――盤面は次第にその正解を示し始める。
しかし、その途端、他の参加者たちの影が現れ、視線と行動がぶつかり合う。
協力か、それとも競争か。
虚数の棋盤は、単なる論理思考だけではなく、心理戦も試す舞台だった。
慧は冷静に呼吸を整える。
「情報の波と心理の波、両方を読む――それがこの棋盤の攻略法だ」
雫も頷き、二人は次の一手を踏み出す。
異次元情報の新たな層が開かれ、課題はさらに深まっていく――。




