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11話: 歪みの迷宮
核心の迷宮を突破した慧と雫の前に現れたのは、空間そのものが歪む迷宮だった。
床も壁も天井も不規則に揺れ、視覚だけではどこが安定した場所なのか判断できない。
「……まるで世界が溶けているみたいだ」
慧は足元の光点を解析しつつ、揺れる空間のパターンを瞬時に読み解こうとする。
「慧、この揺れ、直感で踏み出すタイミングを見極めないと危険よ」
雫は微かな振動や空気の流れから安全ルートを感知する。
迷宮は歩くたびに形を変え、誤った一歩は迷路の入り口に戻されるような錯覚を与える。
さらに、他の参加者の動きや心理的圧力が加わり、解析と直感だけでは突破できない試練が増す。
慧は冷静に分析し、雫の直感に補助を加える。
「揺れの周期を読む、心理的な罠も加味する……」
雫は光の微細な揺れを指先で追い、二人の連携で進路を選定する。
迷宮の中心に近づくにつれ、歪みのパターンはさらに複雑化する。
光と影、直感と心理戦、情報と誤情報が絡み合い、全感覚が試される。
やがて、光点が整列し、歪みが静止した瞬間、二人は突破に成功した。
「……成功だな」
慧は小さく息をつき、雫も微笑む。
しかし、二人の心には次なる試練への緊張が残る。
歪みの迷宮は、異次元情報の複雑性と心理戦のさらなる深層を示していた――。




