最後に会いたかったな……
◇◇◇◇
スポットライトの星の中、幾重にも煌めくサイリウムたち。
女の子たちの大歓声と熱気のステージ。
あの頃は、楽しかった。
何も考えず、何も悩まず、ただ笑っていただけ
歌って、踊って、叫んで、笑っていただけ。
最後に会いたかったな。
カスミソウの女の子。
いつも、一輪挿しのカスミソウと手紙だけくれたあの子。
顔も知らないけど、いつもいつも僕をみてくれた。
ああ、どうしてこうなった?
これは僕の罰か?
僕、まだ若いんだけど、
もう少し、僕が 柔らかい心なら、あいつらと離れないで済んだのか。
もう少し、僕が あいつの心を分かってあげたら続いていたのか。
もういいさ、いまとなっては過ぎ去った
ああ、僕の過去が見える。
きっと、これがぐるぐるぐるぐると
駆け巡る走馬灯って奴なんだ。
ごめんな、仲間を傷つけて……うん、いまさらいっても遅いけど 僕が悪かったよ。
もうすぐ一人ぼっちになるけど。
あの子だけは泣いてくれるかな?
ありがとね ありがとね 君のことは忘れない
さよなら さよなら 短かった僕の人生。
※ 現在連載中の「なんども駆け落ちされた伯爵子息カールの行く末は……」
過去世のカレンの最期の想いです。