失神してしまうのです
◇◇◇◇
なぜかしら? なぜなのかしら?
あの方が来ると失神してしまうのです。
なぜかしら? なぜなのかしら?
初めてあったあの方に、失神してしまうのです。
あの方と目が合うだけで、息が止まり、くらくらする。
心の鼓動がトクントクンと波打ちぎわのように揺れる凪のよう。
ああ駄目、ああ、もう耐えられない。
さっさと気絶しましょう。
さっさと倒れましょう。
とっとと気絶するしかない。
目覚める、気絶する、目覚める 気絶する。この繰り返し。
お願いだから、愛しい方、どうか私に、近づかないでくださいな。
離れていれば 失神しませんの。
ただ、ひっそりとあなた様を見つめていたいだけ。
気になって、気になって、仕方のない 愛しいお方よ。
前世の呪いが 今世であなたを苦しめる。
ならば愛しい方よ、どうかわたしを捨て置いてください。
遠い世界で、遠い異国で、遠い時空を超えて……
だから どうか、お願いだから、私の側にこないでください。
遠くでいい、遠くでいいから あなたを見つめていたい。
私の居場所であなたを愛しますの……
大輪の花たちに、ひっそりと紛れ込みますわ、
そう、カスミソウの花のように。
あなたの笑顔をひっそりと見つめていたいだけ。
それが私の唯一の願いなのです。
※ 現在連載中の「なんども駆け落ちされた伯爵子息カールの行く末は……」
にでてくるヒロイン、ウエンディ嬢のカールへの愛です。
詩を創るとキャラクターの気持ちがより明確になってきます。




