36/36
ぜろは思った
✧ ✧ ✧ ✧
ぜろは思った
ぜろは どこまでいっても ぜろだ
ぜろは いち ではないから
たとえこの眼が 水平線の彼方まで みとおせたとしても
ぜろは どこまでいっても ぜろだ
✧
ぜろは思った
いちが欲しいと
きっと いちがいれば
大きな巨人のような あらい波も
たぶん いちがいれば
本帆をあげて 頑丈な筏が作れる
いちとなかよく 大海原をこえていける
✧
ぜろは こうも思った
きっと いちがいれば
さざ波ただよう 静寂な浜辺も
たぶん いちがいれば
ぜろは きらきら光る さくら貝を見つける
一番きれいな さくら貝 ビーズをつけた貝飾り
ぜろは いちの首に そっと飾ろう
✧
ぜろは 思った
ぜろは どこまでいっても ぜろだ
ぜろは いちじゃない
ぜろは いちに逢いたい
ああ いちが いてくれたらなあ!
ああ いちが 笑ってくれたらなあ!
いちがいれば たぶん きっと
ぜろは思った




