舞踏会の夜
※ この詩は連載童話「みにくい顔だと思い込んでいるお姫さまのおはなし」のヒロイン、デイジー姫が初めて舞踏会に出席した心境を、モチーフに書いてみたものです。
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生まれて 初めての舞踏会。
キラキラ キラキラ輝く 光のシャワー
王宮の 黄金広間は 銀銀銅のシャンデリア
七色に ひかり輝いて 煌々と 灯っていた
くるくる くるくる 廻る 花のワルツ
レディ・ジェントルマン レディ・ジェントルマン
大人の ざわめき シャンパン カクテル シャワー
すごい! すごい!
ローズお姉さま リリアンお姉さま
とっても素敵 とってもお綺麗
大勢の ジェントルマンたち 囲まれて
お姉さまたち 満面 花の笑顔
王宮中の 貴公子たちが 勢ぞろいで
一輪の赤薔薇と 一輪の白百合を
真っ白な タキシードに 胸さして
レディ どうか わたしと 踊ってください
レディ 次は 僕と!
レディ 次は 私と!
はい もちろん お受けしますわ
はい 久しく 喜んで
はい……
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いいなぁ いいなぁ お姉さまたち
舞踏会は たけなわ 花のワルツ
くるくる くるくる
輪舞となって まわる まわる
──あ わたしは?
わたしは 誰と 踊るの?
大好きな レモン色の ドレス 新調したの
さっきから ずっと ずっと
あなたを まって いるのに
だあれも だあれも 誘ってくれない
だあれも だあれも 見てくれない
誰か 誰か?
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呼応したかのように 黄金鏡の邪鬼が
意地悪く 微笑んだ
おまえが とても みにくいからさ
おまえが とても みにくいからさ
おまえが とても みにくいからさ
おまえが……
やめて!
嘘よ!
いや
おまえが とても……
パキン!と ハイヒールの かかとを 折った
逃げるんだ!
ここから 逃げなくては!
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しくしく しくしく
ひとり 裸足で 廊下を 走っていく
だあれも だあれも わたしを 見てくれない。
お姉さまたち ばかり
お姉さまたち ばかり
わたしが みにくい から?
わたしが みにくい から?
そうだ わかったわ
わたしは みにくい!
初めて 知った 舞踏会の夜




