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金木犀の花が咲く頃……
◇ ◇ ◇ ◇
金木犀の花が咲く頃 貴方を想う
金木犀の花が咲く頃 私は貴方を想う
貴方は夜中じゅう子供みたいに
街路樹の生垣に顔を埋めて嗅いでいた
まるで金木犀に抱かれるように
まるでゆりかごの赤子のように
満ち足りた笑顔で抱かれていた
春の沈丁花
夏の梔子
秋の金木犀
男のくせにロマンチックな人ねと 私はからかう
悪いかよ 好きなんだからいいんだよと
貴方は口を窄める
神無月の頃……
通りを歩けば ほのかに甘い柑橘系の薫り
生垣の橙黄色の目立たぬ地味な花が咲いている
ああこの薫り
貴方の大好きだった金木犀
私はそっと瞼を閉じる
匂いを香うて 貴方を想い出す
ああ涙がでる
ああ涙が溢れる
ああ涙が零れる──
貴方はいない
もう貴方はいないのに……
今年も金木犀の花が咲いたよ
※ これは小説のモチーフではなく、私の青春時代の思い出をフィクションにした詩です。




