体育大会編②
今回もよろしくお願いします!
え?
告白された?
どういうことだ?
俺は茜の言葉を聞いて思考が停止した。
まるで絶対零度の宇宙空間をさまようかのような。
そんな俺に茜は言葉を続ける。
「今日昼休みある男の子に校舎裏に呼ばれたの 」
「大体の雰囲気で察してたけど、やっぱり告白だった」
「この反応からして結果はわかるでしょ? 」
茜は作ったような笑顔でこちらに微笑んだ。
「私、恋愛とか全然分からないからさ、とっさに断っちゃった 」
茜は高嶺の花として逆に距離を置かれてしまうタイプ、告白もそう何回もされてきた訳じゃないのだろう。
それに前の世界の話を聞く限り……
いややめておこう。
とにかく、なぜ俺は今思考が停止したんだろうか。
客観的に見れば1人の女子高生が告白された、ただそれだけの事だ。
まさか俺って茜のことが……
違う、俺はただ1人のファンとして茜を好きなだけなんだ。
決して恋愛感情などない。
「別に気にしなくてもいいんじゃないか 」
「茜の人生なんだから自分の判断に間違いはないよ 」
俺は何故かほっとしている自分の気持ちを抑え、静かに茜に言った。
「じゃ、帰るぞ! 」
俺は茜と2人で校舎を後にした。
「ところで俊、なんでリレー私の隣に来なかったのぉ〜〜」
隣を歩く茜が俺の顔を覗き込むように聞いてきた。
てか、今かよ!
さっきその話で俺が恥をかいたというのに、ほんとに茜は天然という言葉を自分のものにしている。
俺の顔を覗き込む茜の髪は夕日になびいてとても綺麗だ。
こんなに綺麗なロングヘアは見たことがない。
「綺麗な髪だ… 」
「え〜なんて〜? 」
「いや、なんでもない 」
「走順決めの時はボーッとしちゃってて 」
「ほんとにごめん 」
「え〜なんで謝るの〜?? 」
「ちょっとからかおうと思っただけだよ! 」
「おい、なんだそれ 」
俺と茜はクスクスと笑いながら夕日を眺めていた。
こんな日常がずっと続けばいいな。
それにしても、最近どんどん茜の表情や態度が打ち解けてきている。
なんだか、素が出ていると言った感じだ。
俺の事を信用してくれて来ているのだろうか。
そうでなくても、楽しい学校生活を送ってくれていそうで、こちらも嬉しい。
それから1週間ほど経ち、体育大会本番がやってきた。
うちの学校は事前練習を全くしないので、ぶっつけ本番だ。
そんなところも結果が本番で分かるという点に置いてはとても楽しみだ。
朝のホームルームが校庭の団席で行われた。
「えー、今日は乙坂が欠席だそうだ 」
「リレーの乙坂のとこ誰か代わりに入れるかー?? 」
担任の先生が声を張上げてみんなに伝えた。
乙坂といえば、確か……茜の1個後の走順だ!
俺は真っ先に手を挙げた。
よし!これで茜との約束も守れる。
と思ったその時、俺の後ろで違う誰かも手を挙げていた。
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続く
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