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第一章(完)

最終回です。


お楽しみください。

藍は口をポカンと開けて俺と茜を見ていた。


周りはみんな帰る準備をしていたり、もう既にたくさんの人が帰路に着いている。


「私は俊のことが好き。」


茜は力強い目線をこちらに向け、さっきの言葉を補うように言った。


その場に深い沈黙が流れる。


これが告白ってやつなのか?


俺は今まで体験したことがないのでどうすればいいのか分からず、何も言えずにいた。


しかし、茜はそんな俺の返事を待つように俺を見つめ続ける。


「伝えてくれてありがとう」


今俺の胸の中を暴れ続けるこの感情はなんなんだ。


茜は確かに容姿も整っていて、それにとても優しい.....いや違う、違うだろ!


俺もずっと茜のことが好きだったんだ。


それに気付いていたのに、いつも言い訳をして目を背けてきた。


「俺も茜が好きだ」


ああ、そうだ、俺はずっとこの言葉が言いたかったんだ。


胸の中で暴れていた感情がその言葉を口にした途端晴れていくような気がした。


ありがとう茜、俺にこの感情を与えてくれて。


茜の目からは涙が溢れる。


俺は茜と出会った時と同じように、ポケットからハンカチを取りだし茜に手渡す。


なんか懐かしいな。


茜が俺の手に触れた瞬間、あのビルの屋上で感じた時と同じ感覚に襲われた。


まるで花火が闇夜に散り消えて行くような。


何故か心地よい。そんな感覚だ。


俺の視界は少しづつ暗くなっていき、やがておぼろげながら藍の声が聞こえた。


「2人ともお疲れ様、”あっち”で待ってるね」


あっち?


藍は急に何を言っているんだ?


思考をめぐらせる間もなく、俺の意識は飛んでしまった。



&&&&&&&&&&&&


「ハッ!!!」


俺は意識を取り戻した。


ここはどこだ?なんて考える必要もなかった。


以前感じたことがあるこの冷たいコンクリートの感触。


ここはあのビルの屋上の出口、俺たちの前の世界での記憶がある最後の場所。


周りは深い藍色に包まれた夜。


「戻ってきたのか....?」


もしくは俺がただの夢を見ていただけ。


なんならその可能性の方が高い。


隣には茜が眠っていた。


この状況も以前経験したことがあるな。


懐かしさに浸りつつ茜の肩を軽く叩く。


「んん〜」


茜は変な声と共に目覚めると、こちらを丸い目で見つめる。


「俊?なんで私たちここに?」


え?俺だけの夢じゃない?


「まさか...茜も同じ夢を見ていたのか?」


「え?夢っていうか....さっきまで花火を見てたような気がする....」


「同じだ.....」


どうやら同じ夢を見ていた、もしくは本当にタイムスリップしていたらしい。


「そうだ!」


日付を確認するためにスマホを取り出す。


2025年5月14日、画面にはそう表示されていた。


俺がここで茜と出会った日だ.....


「なんだこれ」


画面の下の通知が表示される所に、1件の未読メッセージが来ていた。


宛先は........


「藍から!?」


この世界で俺と藍は連絡先を交換したことはない。


俺は恐る恐るメッセージを開く。


「え....」


俺はそのメッセージを読むとスマホが手元から滑り落ち、涙が溢れて止まらなくなった。


~~~~~~~~~~~~~~~

俊へ


あなたがこのメッセージを読んでいる時、恐らくあなたは元の世界に帰っていると思います。

でもその世界に私はいません。

私は2人の長い夢の中の登場人物に過ぎないの。

だから元々その世界に宮園藍という人物は居ません。

ほら、夢ってなにかおかしなところがあっても目覚めるまでその違和感に気づかないでしょ?

だからお姉ちゃんも私に違和感を覚えなかったの。

とにかく私が言いたいのは、リベンジスクールライフの経験がこれからの未来で、2人の頑張るための糧になってくれたら嬉しいな。

辛い時はあの数ヶ月間の貴重な思い出を思い出して。

お姉ちゃんをよろしくね。


藍より

~~~~~~~~~~~~~~~~


「俊!俊ってば!」


「ああ、ごめん、涙が止まらないんだ」


俺は両手で擦るようにしながら溢れる涙を拭う。


「藍ちゃんってどなたなの?夢で出てきた子っぽいんだけど上手く思い出せなくて...」


その言葉を茜本人から聞くと、あの藍からのメッセージが現実味を帯びてきた。


「それは....それはな、俺たちの大切な恩人だよ」

「いつも一生懸命で、焼きそばが好きで、コミュ障で.....」


あの数ヶ月間だけでも俺たちはたくさんの思い出を作った。


俺の記憶からは藍は消えない。


「でもいい夢を見た気がするな、なんていうかとても楽しい学園生活を過ごしたような」


茜も夢の内容は覚えているらしい。


それだけで十分だ。


その楽しい思い出が、これからの茜の人生を支えて行ってくれるだろう。


「茜、俺たちはまだこれから残った学園生活をやり直せる」

「時を戻さなくたって、これから新しい思い出を作っていけばいい」


「うん」

「私これから頑張れる気がする!」

「なんか頭の片隅に楽しい記憶がある感じがする」


よかった、藍が言っていた通りだ。


俺はちゃんと茜を幸せに出来ただろうか?


いや、これからこれ以上に茜を幸せにする。


ここから本当の俺たちのリベンジスクールライフが始まるんだ!


俺たちはこれからの未来のことを考えるながら屋上で藍色に染った空を眺めていた。





これにて第一章完結です。

ここまでこの作品を読んでくださり本当にありがとうございました。

私の拙い文章力で不快にさせてしまったかもしれませんが、皆さんの応援はとても励みになりました!

時間がある時に第二章も執筆いたしますので良ければ今後も作品を読んでいただけると嬉しいです!

最後に第一章を通しての星評価をして頂けるとありがたいです!

感想もお待ちしております!

改めてここまで支えて頂き本当にありがとうございます!


追記 第2章開幕します

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