プール⑤
「好きな人?」
そんなこと今まで考えたこと無かった。
というか、あまりにも急すぎるだろぉ!
茜は時々理解し難い行動をとることがある。
藍も俺の返答を待つように、丸い目をして俺を見ている。
どうすればいいんだこの状況。
「好きな人は.....いないよ....」
2人がどんな答えを期待しているのかは分からないが、この返答で殴られることは無いだろう。
「ふぅ〜ん」
茜は少しニヤニヤして俺を見る。
「でも急になんでだ?」
「ヒェッ!!」
「え!なんでってそれは....」
(俊のことが好きだからなんて言えないよ....)
いや、絶対そこつまるところじゃないって!普通!
茜は顔を真っ赤にしていた。
茜はもうちょっと感情を隠すことを覚えようね....
そんなに俺に好きな人が居ないのが面白かったか?
藍もニコニコしていた。
酷いよみんなして.....
「おい、藍はなんでそんなにニコニコしてるんだ?」
俺はジト目で藍を睨む。
「別に〜」
「お姉ちゃんが可愛いなーって思って」
どういうことだ?
そりゃ茜はかわいいに決まってるけど、藍には何が分かっているんだ?
「茜こそ好きな人はいるのか?」
俺はその硬直した状況を変えるべく、話を進展させる。
「私は.......」
「秘密!」
「俺は言ったのに?」
「選択の自由が私にはあるの〜!」
まぁいいか。
「それじゃ、次はあの水上アスレチックに行ってみるか〜」
俺たちは少しお腹も空いて動きやすくなったので、再びプールに行くことにした。
その後も楽しい時間を過ごし、あっという間に夕日が落ちる時間になった。
「今日は沢山遊んだね」
「もう体が動かない.....」
俺の歩く後ろから姉妹の会話が聞こえる。
俺たちはプールカモンヌから駅に向かっていた。
まぁ、すぐ見える程の距離なのだが。
「電車すぐ来るからちょっと急ぐぞ」
「「は〜い」」
俺たちは電車にギリギリ乗り込み、空いている席に座った。
なぜか俺をふたりが挟むような構図になっていた。
なんでいつもこうなるんだ?
俺は疲れが溜まりすぎていたからか、ものの数分で眠りに落ちてしまった。
..............
眠りの中で両肩になにかずっしりした重みを感じ、目を覚ます。
すると、その重みの正体がすぐにわかった。
茜と藍がおれの方にもたれ掛かるようにして寝ていたのだ。
2人も疲れているようなので、無理に起こすことは出来なかった。
まあいっか、今日ぐらいは。
「おやすみ」
俺は2人に小さく呟き、再び眠りにつく。
........
「お客様、終点ですよ、起きてください」
「んなぁ」
「え?終点?」
俺たちは他に誰もいない車内で車掌さんに起こされた。
ぐっすり寝すぎていた。
俺たちは電車を寝過ごしたのだ。
「もう!俊なんで起きてないのぉ〜〜!!!」
茜は寝起きで機嫌が悪いのか、寝ぼけた声で俺に言った。
こうして俺たちのプールの一日は幕を下ろした。
あ、ちなみにまだ藍は寝ている。
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次回からは夏祭り編です。
お楽しみにー




