プール④
30話目です。
これまで支えてくれた皆様本当にありがとうございます!
これからも頑張ります!
「...ん!」
「.......ゅん!!」
「しゅん!!」
俺は眠りの中でずっと名前を呼ばれていた。
「おきてってば!!」
「ハッっ!!」
意識を取り戻し、気管に溜まっていた水をゲボゲボと咳をして排出した。
「俊が生き返った.....」
藍が安心したように呟く。
俺の視界には、倒れ込んだ俺を上から覗き込む茜と藍の姿と数人のスタッフがいた。
「大丈夫ですか!?」
俺が意識を取り戻し、スタッフがバッと近寄ってきた。
「大丈夫です、少し気を失っていただけなので」
俺はウォータースライダーから出る時、まったく準備をしていなかったせいで大量の水を飲み込み、窒息ではなく、パニックで気を失ってしまったのだ。
俺の元気そうな姿を見てスタッフはそこから居なくなった。
「すっごく心配したんだから!」
「ごめん.....」
「私と一緒に滑ってたらこんなことにはさせなかった......」
「え?なにか言ったか?」
「なんでもない....!」
俺はなにか小さく呟いた茜の言葉をよく聞き取れなかった。
「私も心配した.....」
藍も俺を見下ろしながら呟いていた。
ていうか、その画角やめてくれ.....
俺にはあまりにも刺激的すぎる....
普通ラブコメならヒロインが溺れているのを助けるのが定番なのに、なんで俺が溺れているんだ。
情けなすぎるだろ。
笑えない状況に急に恥ずかしくなる。
「もうお昼だしお弁当食べない?私お弁当作ってきたの!」
茜が話題を切り替えるように言った。
「私も手伝った.....」
「茜、藍、本当にありがとう!」
俺は起き上がり2人の目を見て感謝を伝えた。
その後休憩スペースに戻り、やっと落ち着けた。
プールはずっと日向なので、陰はとても涼しく感じる。
「涼しいね〜」
茜も涼しそうにしながらシートの上で足を伸ばしてくつろいでいた。
こんな姿はなかなか日常生活で見ることは出来ないな.....
水着姿だと、その足の長さがいつもに増して際立っている。
俺の2倍ぐらいありそうだ。
そうしているうちに弁当を食べる準備が整った。
「それじゃ、いただきます」
俺はまず卵焼きに手を伸ばす。
だし巻きとチーズの2種類があるようで、俺が食べたのはだし巻きだった。
全く焦げ目もなく、綺麗な卵焼きで優しい味がした。
「美味い!」
「だし巻きは私が焼いた方だよ〜」
藍が少し照れながら言う。
「そうなのか、ありがとうな」
「美味しいって言ってもらえて嬉しい....」
藍は頬を赤らめながら自分の食べている唐揚げに、小さな口で一生懸命かぶりついいた。
かわいい......
「俊!私のも食べてよ!」
「チーズの方は私が作ったんだよ!」
「ああ、いただくよ」
俺はチーズが巻いてある卵焼きにも手を伸ばす。
ちょうど良いしょっぱさで、チーズともよく合っている。
「美味い!」
「えへ〜ありがとう」
茜も満足そうな顔をしていた。
なんか最近この2人がよく競うようになった気がする。
ほかの具材もどれもが美味しく、茜と藍が一生懸命作ってくれたのが伝わった。
「ふぅ、沢山食べたね〜」
「ちょっとここで休憩しようよ」
茜はそう提案すると、俺と藍もそれに賛成した。
それにしても2人ともこんなにスタイルがいいから、てっきり食事制限とかしてるのかと思ったが、昼は無制限に弁当を食べまくっていた。
この体型維持は努力の結晶なのかもな......
俺たちは涼みながらシートの上でのんびりしていた。
そすると、少し気まずそうに茜が口を開く。
「前から少し聞いてみたかったことがあるんだけど、私の質問聞いてくれる?」
「もちろんいいよ」
わざわざ確認するなんてどんな質問なんだ?
「俊は好きな人とか居ないの?」
「!!!」
「え?」
俺と藍はその茜の言葉を聞いてフリーズしてしまった。
どうしたんだ?急に
続く
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次回もお楽しみに!




