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プール

夏休みも始まって5日程経った。


藍の件もあり、今のところ密度の濃い夏休みを過ごしていた。


ずっとこの日を待ちわびていた。


今日は茜と藍と一緒にプールに行く日だ。


俺は朝から水着などの出かける準備をしていた。


「よし、これで持ち物は完璧だな」


準備が終わると、冷蔵庫に目がいく。


「そうだった」


藍に言われてから、最低限の食材を買ってきたのだ。


と言っても、卵や牛乳などだ。


「朝ごはんでも作ってみるか」


でもこの材料で何ができるんだ?


ん〜.......



「よしできた」


俺が結局作ったのは簡素な卵焼きだ。


少し高級な言い方をすると、和風卵焼き地中海の風を添えて、酪農牛乳付き、だろうか。


自分で作った料理の味は、まるで三ツ星レストランの味だった。

(まぁ三ツ星レストラン行ったことないけど)


藍には感謝しなければいけないな。


藍がきっかけで、こうして俺は暖かい飯を食べている。


食べ終わると、隣に置いていたスマホを手に取る。


そこには茜からのメッセージが届いていた。


(プールカモンヌの入口横で待ってるね〜)


(了解)


俺はトーク画面を閉じると、しっかりと鍵を閉めたのを確認して家を出た。


プールまでは電車に乗って8分10秒ぐらいで、すぐに着く。


電車に乗るのも久しぶりだった。


前の世界では毎日2時間くらい電車に乗って登校していた。

(苦い記憶すぎて吐きそう....)


電車を降りると、視界にはプールカモンヌが見えていた。


てかプールカモンヌって、めっちゃ来てほしそうな名前してるな....


「お〜い!!!」


聞きなれた声が聞こえ、その出どころを探すと、いや探すまでもなく、手を振っているスタイル抜群な2人の人影が見えた。


叫んでいるのは藍の方だろうか、声が2人とも同じなので聞き分けられない。


まず身長から茜と藍は周りと違う。


これがモデル体型ってやつなのか.....


「おはよう茜、藍」


「おはよう!」


俺は2人と合流し、チケットを買うと、それぞれ男女更衣室に向かった。


俺はごく普通の柄のない黒色の海パンだ。


2人はどんな水着を着てくるんだろうか。


正直心の中でどこか期待している自分がいることは認めよう。


着替えを済ませると集合場所のシャワー前に集まる。


2人を待っている間、俺は準備した浮き輪に空気を入れる。


俺が着いて10分ほど経ってから茜と藍が姿を見せた。


「ごめ〜ん、ちょっと遅れちゃった」

「あれ?お〜い聞こえてる?」

「俊!!」


俺の焦点の合わない目に、茜は一生懸命話しかけていた。


「はっ!!」


俺は2人の水着姿に見とれてしまい、聴力を失ったかと勘違いしてしまった。


その姿は言い表し用もないほどに完璧で、まるでルーヴル美術館の廊下の一番奥にある絵画を見ているような気分だった。


「ごめんごめん、ちょっとぼーっとしてた」

「ならいこっか」


俺たちは場所取りのために休憩スペースへ向かう。


気のせいかもしれないが、今日会った時から藍の口数が少ない気がする。


今も茜の後ろに隠れながら歩いているようにも見える。


まあいいか、藍は元々コミュ障なんだから、今に始まったことではない。


やっとシートを敷けそうなスペースを見つけ、そこに陣取った。


「ふぅー、やっと落ち着けたな」


「あ、日焼け止め塗らないと」


茜はそう言って、手提げ袋から日焼け止めを取り出した。


「ほら、藍も塗るよ!」

「藍はとくにお仕事もあるんだからしっかり塗らないと...」


そう言って茜は、自分の手と藍の手に日焼け止めを適量出した。


2人が日焼け止めを塗っている間、俺は目の行き場に困り、2人に背を向けていた。


しかし、次の瞬間この真夏が冷めるほどの言葉が背中から飛んできた。


「俊、日焼け止め背中に塗ってくれない?」


その声は藍が放った言葉だった。


続く


お読み頂きありがとうございます。

よければブクマや星評価よろしくお願いします!

次回もお楽しみに〜

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