双子
「私実は双子なの」
「双子?」
「てことはさっきこの部屋に来た人は茜の双子?」
だからあんなに見分けがつかないほど茜と瓜二つだったんだな...
「そう!多分俊が見たのは私の妹の藍だよ!藍」
「私たちめっちゃ似てたでしょ?」
「うん」
おそらく一卵性なんだろう。
「私たちの名前には大切な意味があってね〜......」
そして茜は2人の名前の意味を語り始めた。
まず、茜が姉で藍さんが妹のようで、茜は出産時すんなり生まれたが、藍さんの出産はなかなかに難航したようで、2人の生まれた時間の差はなんと3時間なんだとか。
その事もあって、茜はこの世界がまだ夕方で空が茜色に染っている時に生まれたが、藍さんが生まれる頃には空はもう藍色に染まっていたらしい。
その事から2人の名前がつけられたようだ。
素敵な話だ。
俺が素直に感心していると、その話を部屋の外から盗み聞きしていたのか、扉が開き藍さんの姿が現れた。
「ちょっとおねえちゃん!」
「その話恥ずかしいから人前でしないっていう約束じゃん!」
「私がマヌケみたいだよ....」
割とマジで落ち込んでいる様子の藍さんを眺めると、あることに気がついた。
さっきは藍さんは寝起きで髪がボサボサだったから気づかなかったが、茜はロングヘアなのに対し藍さんはボブだ。
髪型で見分けられるのはありがたい。
受験が終わって見漁っていたラブコメ漫画では5つ子を見られられない主人公をあわれに思っていたものだ。
「別にマヌケじゃなくないか?」
「双子で他の子よりも大変なのに、無事に産まれてきたことが凄いことだと俺は思うぞ」
俺の言葉に嘘偽りはない。
が.....俺が話終わると藍さんの動きがピタリと止まった。
少し気まずい雰囲気になると茜が横からその沈黙を破ってくれた。
「あぁごめんごめん」
「藍は私とか家族以外の人と話すとあまりの緊張でフリーズしちゃうの」
茜は少し面白おかしいかんじで鼻で笑っていた。
その様子からもわかる姉妹の仲の良さ。
茜だけでも尊かったのに、藍さんまで俺の視界に加わるともう俺は幸せのあまり飛びそうになる。
「俺が急に話すから...ごめんなさい、藍さん...」
「ぁ!あぁ!あ、あの!」
「謝らないでください!」
「も、もももう大丈夫ですから」
急に藍さんの意識が戻り、いかにも大丈夫ではない返事をした。
しかし、さっき部屋に来た時は藍さんと普通に会話出来た気がするけど....
寝起きで無意識で俺と会話していたのかな.
せっかくパーティーするなら賑やかにやりたいな。
「藍さんも一緒にパーティーしない?」
俺の唐突な提案に藍さんはビクッと反応して少しずつ後ずさりをする。
「いいじゃん!」
それを逃さまいと茜の追撃。
「え?え?....え?」
「お姉ちゃん何考えt……」
茜は藍さんが何か言っているのなんて関係なしに藍さんの手を引く。
部屋に連れ込みドアを勢いよく閉めると、藍さんの分のコップにもジュースを注いだ。
「あ、あと藍のことは呼び捨てでいいよ〜!」
茜は勝手に俺の藍さんへの呼び捨て許可を下した。
「お名前、しゅ、俊さんって言うんですよね?」
「さっきから盗み聞きしててすみません!」
藍は机に頭を打ちつけ謝罪する。
「いいって、頭を上げてよ」
「聞かれてダメな話なんてしないしね〜」
「え?でもお姉ちゃんと俊くんって付き合ってるんじゃ.......?」
Huh?????????????
続く
テスト今日で終わりました。
寒いです。
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