体育大会編③
今回もよろしくお願いします。
俺は後ろを見た。
そこで手を挙げていたのは雄大だった。
この学年でもトップクラスに足が速い雄大が走ると言っているんだ、みんな俺より雄大を支持するだろう。
やっぱ現実はそう甘くないな。
茜との約束、また守れなかった…
俺が渋々手を下ろそうとしていると、雄大が声を張上げて言った。
「やっぱ今日足の調子悪いので、俊に走って欲しいです 」
そう言って雄大は潔く手を下ろした。
え……??
どうしてだ?
俺にはあいつの、足を痛めたという言葉が嘘にしか聞こえなかった。
俺は疑問に思いながらも雄大から託されたものを大事にしようと決めた。
ホームルームが終わり、それぞれのクラスが競技の準備をし始めた。
「雄大!」
「その…なんで俺に譲ってくれたんだ? 」
「足が痛いって、あれ嘘だろ 」
俺はオドオドしながら雄大に聞いた。
「え、なんでって、そりゃぁ 」
「お前がこういう場で率先して前に出ることなんて今まで無かったからさ、応援したいと思ってな 」
雄大は少し照れながら言った。
なんだこれ、BL展開か!
「てか、俊こそなんで手挙げたんだ? 」
!!
俺は雄大からの問いに何故か動揺していた。
茜とバトンを繋ぎたいなんて言えないしなぁ…
「ま、まぁそれは俺もやっぱいい所見せたいっていうかさ、そんな感じだよ、、! 」
雄大は俺の言葉に疑問を浮かべていた。
「見せるってだれにだよ? 」
「え、それは、お、お母さん!」
終わった…
俺はその時、これからの学校でのあだ名がマザコンランナーになることを確信した。
そして、順調にプログラムも進みやっと俺たちの学年のリレーの番がやってきた。
緊張してきた…
俺が1人でコミュ障を発動していると、後ろから雄大が話しかけてきた。
「お、マザコンランナーはもう準備万端か? 」
「そのあだ名やめてくれ… 」
にしてもほんとに雄大はスポーツ系男子の権化のような存在だ。
ハチマキがまるで自分が生まれた時から持っていたかのように似合っている。
暑さでぼーっとしながら雄大を眺めていると、その後ろで茜がハチマキを1人で巻いているのが見えた。
もうその姿だけで尊かった。
「あかね!今日はあんまり話せてなくてごめんな 」
「リレーの約束守れるよ 」
俺は暑さに負けじと元気を振り絞って茜に話しかけた。
「俊にバトン渡せるの嬉しい! 」
「今日はお互いがんばろーね! 」
俺は今日も目の前の女神の笑顔に癒されていた。
「あの、さ 」
茜の急に雰囲気が変わった声に少し驚いていると。
「ハチマキ、交換しない?? 」
え…!!
俺はその言葉を聞き、思考が停止してしまった。
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続く
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