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精霊に転生した女の子は見習い精霊から精霊王を目指す(前編)  作者: s_stein
第4章 精霊

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9.レオの不思議な夢

「せいれいがいるの? わー! すごーい!」

「レオさん。そんなに大声を出さないでね」


 病人だったとは思えないほど元気なレオが、満面に笑みを浮かべる。そして、上半身を起こそうとしたが、体が言うことを聞かないらしく、肘を突いて起き上がろうとするも、力尽きたように横たわり、息を吐く。


「なんで?」

「ずっと寝ていたから、疲れて起き上がれないと思うわ」

「ちがう。なんで、こえをだしたら、いけないの?」

「アメリアさんが、そこで寝ているの」

「アメリアが!?」


 レオは、またもや起き上がろうと試みるも、あと少しのところで諦めて横たわる。


「ぼくと、いっしょに、ねてくれたんだね。うれしいよ」


 そうではないのだが、レイアはアメリアの事情を伝えない。それは彼女の口から言ってもらった方が、()(さわ)しいと思えたからだ。


「レオさんは、精霊が好き?」

「うん。すきだよ。おおきくなったら、せいれいつかいになるんだ」

「そうなんだ」

「ねえ。きいてくれる?」

「何かしら?」


 レオが、父親みたいに、大きくなったら契約して欲しいと切り出してきたらどうしようと、彼女は少し身構える。


「ぼくと、けいやくして――」

「――――」

「といったら、けいやくしてくれる?」


 やはり、その話か。


「十年後の事は分からないわ」

「ちがう。けいやくしてっていったら、けいやくしてくれる?」


 子供相手とはいえ、「うん」と言ってしまったら、約束になる。心に刻まれて、十年間ずっと忘れないことだってあり得る。そこで、レイアは、ヨーコの先約を担ぎ出す。


「ごめんなさい。すでに、契約してって言われている人がいるの」

「そっか……」


 声の調子から、失望落胆したらしいレオが無言になると、室内はアメリアの寝息だけが聞こえていた。しばらく天井を見つめていた――と言っても、実際は闇を見ていた――レオは、右手の甲を額に当てて、時々目を閉じては開くを繰り返す。そろそろ、眠気に誘われて眠りに就くのかと思っていると、


「ねえ。きいてくれる?」

「今度は何かしら?」


 まだ契約の話を引きずるのかと、レイアが警戒すると、


「へんなゆめを、みたんだ」

「変な夢?」


 話題を変えてきたので(あん)()し、耳を傾ける。


「しらないせかいにいて――」

「うん」

「そこで、おんなのこが、ふたりいて、ぼくと、おはなししているの」

「うん」

「でもね。へんなんだ」

「何が?」

「ぼくは、おんなのこを、『ひめ』と『ゆみちん』ってよんでるの」

「――――!」


 体が石像のようになったレイアは、脳内で前世の記憶が鮮やかに(よみがえ)る。


 ――姫とゆみちん。


 それは、前世の自分――()()(しま)レイアと(からす)()()()()のあだ名。


 何故(なぜ)、それを異世界にいるレオが知っているのだろう?


(レオ……? レオって、まさか……)


 動揺して震えが襲ってきたレイアは、レオのベッドの近くまで行って、身を乗り出すようにレオに問いかける。


「レオさんは、自分の事をなんて名乗っていたか、分かる?」

「なのるって、ぼくが、ぼくのことを、なんていってたかってこと?」

「うん」

「それも、へんなんだ」

「へん?」

「ぼくは、れおなーるだって、おんなのこに、いうんだ。ぼくは、レオなのに」


 ――レオナール。

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