表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊に転生した女の子は見習い精霊から精霊王を目指す(前編)  作者: s_stein
第1章 見習い精霊

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/98

5.逃走

 レイアと勇美子は、この異世界に見習い精霊として転生してから、いきなりワンランク上の微精霊の魔法回路を手に入れた喜びで舞い上がっていた。だが、ラウラが「人造精霊の役に立ってもらう、と脅して悪かったのう」と謝罪した途端、透明な容器に入っていたあの人造精霊の姿を思い出し、急に熱が冷めていった。


 そう言えば、最初にヴィッセンが「人造精霊の足しになる」とか言っていたのを思い出す。おそらく、ヴィッセンは毎日森の上を旋回して、めぼしい精霊を発見すると好物の餌でも見つけたかのように足で(つか)んで城へ帰還しているに違いない。


 クーノは、なぜ人造精霊を作るのか。精霊の神秘に魅了されているのか、単なる知識欲を満たすためなのか、それとも何か(たくら)んでいるのか。高度な魔法をレイア達に見せつけたラウラは、彼にどこまで手を貸しているのか。


 この城の中で精霊を人の手で作っていることを、この世界の住人は知っているのだろうか。知っていたとして、この事をどう思っているのだろうか。


 疑念が次々と生じてきて、薄ら寒いものを感じたレイアは、()(ただ)して良いものだろうかと戸惑いを覚えた。実は人造精霊の件は極秘であり、秘密が外へ漏れないように幽閉されるかも知れない。


 しばらく様子見を決めたレイアは、勇美子と一緒に瓶に入れられて、また光の玉を提灯(ちようちん)代わりにして踊るように廊下を歩き階段を駆け上がるクーノに運ばれた。


「おや? 廊下が()れている?」


 立ち止まったクーノの不思議がる声が上から降ってきて、レイア達は瓶の底を見る。光の下にボンヤリと映る石の廊下に、濃くなった部分が点々と浮かび上がる。何となく、それは足形のようだ。しかも、たくさんある。


 ――複数の濡れた誰かが、ここを歩いた跡だ。


 レイアより早く、これが誰の足跡か推理の結果を出したクーノは、「まさか!」という叫び声を廊下に響かせ、瓶を持ったまま後戻りをして、近くの扉を勢いよく開けた。


「やっ! 逃げられた!」


 光の玉が浮かび上がらせる部屋の中には、大人が一人入れる大きさの四つの容器があり、そこには液体が詰まっているだけだった。


「お師匠さん! あっちの部屋のは大丈夫ですかね!?」


 ヴィッセンの言葉と同時に部屋を飛び出したクーノは、レイア達を最初に瓶詰めした部屋へ大急ぎで戻った。


「やっ! こっちも逃げられた! お前は外を探せ! 僕は(ばあ)さんに報告しに行く!」

「かしこまりぃ!」


 瓶を机の上に置いたクーノは、空の容器の前に立って唇を(ゆが)め、頭を()きむしる。


「畜生! 未完成の振りをして、本当は完成していたのか!」


 羽音が窓の外に消え、足音が部屋の外に消えると、レイアと勇美子が(ささや)き合う。


「姫。人造精霊が逃げたって事?」

「そうみたいね。しかも、複数いて、同時に逃げたみたい」

「そんなに作っていたって訳?」


 と、その時、部屋の真ん中で、ボウッと白い影が浮かび上がり、それは白いドレスを(まと)う銀髪ロングヘアの幼女の姿になった。裸足の彼女がこっちに向かってひたひたと歩いてくるのを見て、レイア達は瓶の中でスーッと後ろへ下がり、カタカタと震えた。


「あなた達も助けてあげる」


 ()(わい)らしい声でそう言った彼女は瓶を両手で抱え、窓枠へ手も使わずにひょいと飛び乗ると、大胆にもそこから飛び降りた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=355503857&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ