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目覚めの時間

男の娘っていいですよね!あと、男装の女の子も大好きなんですよね!だったらその絡みって絶対萌えるでしょ!!っていう妄想を垂れ流すだけの自己満足を形にしたので、刺さる人にぶっ刺さってほしい!!っていうか刺します!くらえ!黒歴史!!!!

「ここが私の家!」

柚の香りがする。目の前の家から、隣にいる女から、自分の着ている制服から。

あまりに異様な状況に、家が普通すぎることに対して疑問符が浮かぶ。

ごく普通の一軒家だ。

庭に柚の木が生えているが、まぁ、たまに見るか。

で、隣にいる女は俺の制服を着て、俺はこいつの制服を着ている。

そして目の前の家はこいつの家。

ほぼ初対面の女子の家に、しかも女子制服を着て。

なんだろう。今も放課後の昼寝の夢の中なんじゃないか。

「よし!行くぞ!入って!」

男子用の、というより俺の制服を着て心なしか低くなった声を聞きながら、遠慮がちにその後をついていく。

物語を進めるために回想でもするか。



「あ、やっぱそうだね。うん。間違いない。」

またお隣のうるさい声で目が覚める。

授業が終わり、しばらく時間がたつと学校の雰囲気もがらりと変わる。

「うーん……あぁ……」

金曜の放課後の安らかな睡眠のひとときを邪魔しないでほしい。

俺はいこい 由羽ゆう

今年で中学2年になるが、1年の時にはいじめにあっていた。

クラス替えのおかげで解放されたが、ただいまぼっちを満喫中。

今昼寝をしているのも、ぼっちのよくやるアレだ。クラスに一人くらいはいるだろう。

それにしても、なぜこいつはこんな時間まで教室に残っているのか。

クラスに残っているのは俺とこいつくらいだ。

部活はないのか?

俺はもちろん、帰宅部だ。

「そういえば、憩は部活とか入ってないんだっけ?」

2年に上がってから5回目くらいだろうか。何度かスルーした質問を右から左へ受け流す。

「……」

当然答えない。

寝てるんだこっちは。無視していればどっか行くだろう。

数秒の沈黙。

「おーーい!今日暇かーー?」

肩をゆすられた。

今回はいつもと違うな。これ以上昼寝の邪魔をされては仕方ないので顔をあげる。

まだ空は明るい。4時くらいか。

横を向くと目の前には男子のような顔をしたこいつがいた。柚飛ゆずひ しのぶ

時々一人で変なことをつぶやいている変な奴だ。

「なんだ。起きてるじゃん」

「誰かさんの声で起こされたんだけど」

しばらくの間、こちらを見つめてくる。

改めて見ると、眼鏡が似合わない。コンタクトにすればいいのにな。おっと。

「あのさっ!今日暇ならうちに来て欲しいんだけどいい?」

急に何をいってくるんだろうか?こいつとはほとんど話したこともない。

そもそも今はだれとも関わりたくないし、眠い。

「いや……」

おもむろに机のスマホを数秒いじった後、それを見せてきた。

女子用の制服を着た子の……ん?

「ところでさ、この写真なんだけど???」

「はぁ!?」

唐突に何を出してくるんだこいつは

あまりの衝撃に変な声をあげてしまった。

いくらなんでも、それはない。

脅しだ。

卑怯だ。

「いやぁ、かわいいよねこの子。去年、偶然友達と写真撮ったら写っててさぁ」

こいつまさか……?

「いやぁクラスが一緒になって初めて見る顔なのに、どーっかで見たことあるよなーって。こういう趣味があ……」

「おい!!!」

不思議そうな表情を浮かべる柚飛。

二人しかいない教室に恐ろしいほど静かな時間が流れる。

「その……わかったからもうやめろ。脅しはわかったから……望みはなんだ?」

「あ!そうそう!だから話しかけたんだった!脅すつもりはないんだけど……私の制服、着てみてよ?」

少し考える。

何言ってんだろう。

「えーっと……はぁ!?」

本日二度目のはぁ!?だ。

沈黙。

ニヤニヤした顔でこちらの反応を待っている。

「お前の制服を着ろと?俺は女装をしたくてしてたわけじゃないんだよ。そのときはいじ」

「うーん……でも憩って、結構中性的な顔してるから似合ってると思うんだけどなぁ」

「俺の男としてのプライドが許さない。却下だ。」

「クラスに大声で言おっかなぁ~。憩君は女の子になりたくってー!女装が趣味でー!写真もここにー!って」

「よしわかった。おとなしく従ってやろう。ただし、一回着てやったら画像はちゃんと消すんだよな?」

「やった!じゃ、制服脱いで!憩いが着てる間私が着るから」

地獄だ。

一丁目ではなくもう三丁目くらいか。

弱みを握られた挙句に女装までさせられるなんて、去年と同じじゃないか。

……ん?ここで着替えるのか?

教室だぞ?

今から制服を脱げと?

そもそもこいつも着替えるのか?

「おい、なんで今すぐなんだ?やるとしてももっと別の……」

「あ、そうそう。胸はおっきいのと小さいのどっちが好き?」

唐突にまた何なんだこいつは。

机の下にある華奢な影を見ながら答える。

素直に答えるのは癪だ。

「そりゃ、ないよりはあるほうがいいだろう。小さいのなら男で間に合ってる。」

「ふーん……じゃ、大丈夫かなー。」

目の前の陰からシャツの形をした影が離れて机に一体化した。

柚の匂いがする。

目の前には男子のような形の影がこっちの影を向いている。

「ほい、ブラウス。ズボンは憩が先に脱いでよ。私はスカートの下から履くから。」

理解できない。

男の前で女が堂々と上を着替えてるのか?

そこに何が見えるのかわかっている。

だからこそ、男として顔を上げたらいけない気がした。

下を向いていたが、耳まで真っ赤なのはバレているか。

「あれ、やっぱ興味ないのか。まぁ、そのほうがいいか。」

ぼーっとしながら、声は聞こえたがなにを言っているかわからなかった。

放課後の5時の教室。

さて、いったい何が始まるんだか。



回想終わり。思い出したくもないが。

俺は今、柚飛の制服を着たままこいつの家の玄関にいる。

なんでそのまま帰ってるんだろう。

ほとんどもうどうにでもなれという気分だ。

「家誰もいないからさ、遠慮しないでほら!」

ドアから手招きされた。

女子制服を着て外をうろつきたくないので言われた通り黙って入る。

階段を上がる音。

後ろのドアの音。

玄関で立ち尽くす。

居場所は?

「あー、着替えるから左の部屋入って適当に待っててー」

2階の部屋らしき位置からくぐもった声が聞こえてくる。

そうか。

女子制服を着た変態はここであいつが俺の制服を返すのを待つんだな。

ドアを開けて部屋の中に入った。


ポーン。

額に衝撃。


「サブタイトルの目覚めの時間ってどういう意味なんだ?」

「さぁ?昼寝から目を覚ましてたしそのことじゃないの?」

「ふーん……」

「そういえば、バトロワってゲームのジャンルが面白いらしいよね~」

「あー。ルールくらいは知ってるけどそれがどうした?」

「この小説のタイトルにも入ってるけど私たち今回着替えただけだよね?」

「そのあとにお前の家に連行されたけどな!

 そういえば額が痛いのはなんでなんだ?」

「最後の一行で何があったんだろうね~?」


「次回、心変わり。よろしくお願いします!」

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