表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/123

096

その96です。

「自己紹介をしよう。私の名はぴるる。三日月の刃の氏族だ」


 飛び石のようにひょいひょいと小川を渡ってきた猫。彼(?)が喋っているのは間違いない。


 けれど――泰地は笑いを堪える努力が必要だった。多分、他の二人も同様だろう。



 外見はどう見ても普通の三歳前後の猫。十人が見れば十人とも「かわいい」と口を揃えるに違いない。


 そんな容姿も声もかわいい猫が「三日月の刃の氏族」なんて厨二ワードを発した上に、自分の名前は「ぴるる」だというのだ。笑わせにかかってるとしか思えない。



 しかし、オーリン皇子の名前を出しているからには、冗談と聞き流さず確認が必要となる。榊はもう一度咳払いをした。


「失礼。政を成すは」


「ナオモクスルガゴトシ」


 ぴるるが合言葉を唱えた。意味が分かってなさそうなのは仕方がない。「政を成すは猶沐するがごとし」とは、古代中国の格言なのだから。


「ありがとう。では、自分たちも自己紹介させてもらう。私は榊。一応、この中では責任者となっている」


「おいらはブルーマロウ・タユー。タユーでいいぜ」


「俺は――」


「ルデルはルデルなのだ。こっちは我がくらなのだ」


 はいはいお約束お約束、と泰地はスルーすることにした。


 これから先、魔王サマが頭上にいる限りはずっとこの調子になるのは確定的なのだ。諦めた方が楽になる。




「うむ。よろしく頼む――あれ?」


 重々しく頷くような声のぴるるだが、なぜかその身体は仰向けになって寝そべっていた。完全に無意識で腹を見せていたらしい。




(あー……野生だから、自然とルデル様がどういう存在なのか分かるんだな)


 起き上がりながら首を捻る猫を、榊とタユーはほんわかとした気分で見守っていた。


更にあざとい行動をさせてすみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ