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086

その86です。

 オーリン第三皇子いわく、ハセン皇国は現皇帝であるシュクリの圧政によってかなり疲弊しているのだそうだ。


 というのも、シュクリ皇帝は五代前の皇帝が築いた絢爛豪華な文化に傾倒しており、文化人や貴族を保護する代わりに民衆を人間と捉えない人物らしい。


 それでも、シュクリ皇帝の弟であるショウマや第一皇子のソーベなどが影に日向にフォローをしていたおかげで、これまでは大きな問題にはならなかった。


 ところが、三年前に皇国の良心であるショウマとソーベが相次いで病死したことで一変。皇帝は我と我の愛する者たちに対する贅を惜しまなくなってしまう。


 本来ならば、ここで第二皇子であるコシュが諫める役割を継がねばならなかったのだが、残念ながら彼は小心な俗人であった。ショウマやソーベが生きていた頃は消極的に二人を支持していたが、没した途端に父に従う方向へ流れてしまった。




『兄貴が踏み止まってくれりゃよかったんだが、いまじゃ愛人たちに金銀宝石をバラまいて食っちゃ寝の生活してるからなぁ。そんな親父と兄貴の贅沢に、お前さんたちが捕まえてくれた組織も一枚噛んでるってワケだ。ぶっちゃけ上納金だな」


 生臭い話である。タユーのまなじりと口元がひくつくのも無理はない。


 シェビエツァ王国の宮廷闘争もなかなかアレだったが、今回は比較にならない酷さだ。君主政治の最悪なケースといった風情である。


『お前さんたちが組織を壊滅させるのに合わせて、俺の一派も親父と兄貴を拘束して勇退していただく。……え? 壊滅はしない? ケチケチすんなよ。お前さんたちが持ってきた資料見たってクソ以下の連中じゃねーか。後腐れなくぶっ潰そうぜ』


 物騒な文言を最後に、動画は終了した。


(うん。ヴェリヨに似てるって感じたのも、あながち間違いじゃなかったなぁ)


 苦笑いする泰地の横で、タユーは「良いこと言うじゃんよ」とばかりに頷いている。




 ノートPCを閉じた雪郷は、ゆっくりと立ち上がった。


「そんなワケで、これからハセン皇国の犯罪組織への一斉捜査に参加してもらうって話だ。……いや、まさかこんな早さで捜査が進展するなんて予想してなかったんだって」


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