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082

その82です。

 どうあれ、ここから先は国家間の交渉となるので、泰地たちはもちろん榊も口出しはできなくなった。すべては「上」の裁量に委ねられる。


 結論が提示されるのは、それこそ年単位で先の話となってしまうのは確実で、一捜査員に過ぎないタユーや泰地たちは「終わった事件」として心の奥の棚に置かねばならない。不本意な話だけれども、割り切ることも必要だ。



「はぁ―……宮仕えはヤだねぇ」


 しみじみと呟くタユーに泰地も同意する。


 絶対君主ではない彼らには、これから様々な理不尽を呑み込んでいかねばならない場面が度々遭遇するだろう。それが是か非かなんて、若い二人には判断が難しい。



 ……というか、少年としては不可思議な疑問がある。



 「空の魔王」を自称し、実際に様々な異能を行使しているルデルが、どうして日本政府の下で働いているのか?



 くらとしている泰地がいるから?


 政府と何か契約を結んでいるとか?


 単純な気まぐれか暇潰し?


 呪いの類に縛られているため?



 ……平素ならツッコんできてもおかしくないのに、なぜか頭上は静かなまま。何もリアクションがないと気味が悪くなってくる。


(なんだよ、本気でアンタッチャブルな問題じゃないだろうな?)


 足元からぞわぞわし始める泰地を尻目に、雪郷はノートPCを畳んだ。


「そんなワケで、この件は終了、閉廷っと。んでもって次の週末だけど、完全休養ってことでヨロシク」


「…………ウソだ」


「マジマジ。つか、さっき横北から電話があったんだけど、ゲアハルトもお疲れちんらしいから、一回はしっかり休ませんと。グレられたら困るし」


 一回はって、とブラック企業のような物言いに眉をひそめつつ、泰地は嬉しさが徐々に込み上がってきた。見れば、タユーの表情が輝きを増してきていた。


(よし! これでいろはさんたちと遊びに行く約束がやっっっと果たせる! よかった。ずるずる延期して自然消滅する羽目にならなくて本当に良かった!)


 このまま黄金週間に突入したらアウトかも、と心配していただけに、少年のテンションはゆるやかに上昇を続け、無意識にタユーと「いえーい」とハイタッチを交わすほどだった。


今日はもう1編、更新させていただきます。

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