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081

その81です。

「なんだよ。国交が結ばれてないと、なんか問題なのかい? 犯罪組織をぶっ潰すだけなんだから、向こうも大歓迎だろ?」


 タユーが気だるげに反論する。だが、個人間ならともかく、国家間ではそれが通用しないであろうことは泰地でも理解していた。


 無論、雪郷の返答も同様である。


「国交を結んでる国が相手でも、犯罪者の扱いは揉めるしなぁ。まして今回は、今まで存在を知らなかった国が相手だし、法律とかって概念がなさそうな雰囲気なんだよねー」


「ああ? それって何だよ」



「要するに、王様自身がルールだって話」



 うへぇ、とタユーは天を仰いだ。簡潔だが見事に納得できる。


 いわゆる絶対君主制なら、国王の機嫌如何で国全体が動かされてしまう。


 統治の前権能を持つ君主が聡明な人物ならば、民主政治よりもむしろ良いのではないかと思わせる部分があるかもしれない。ただ、愚鈍な人物であれば問題は山積となるだろうし、暗愚な人物となれば国家存亡の危機となるだろう。


「国家間の交渉ってのは、簡単な話でも時間を食うもんなんだよ。適当にニュース見てても、同盟結んでる相手に条約結ぶだけでもどえらい時間がかかるってやってるだろ」


「でも、絶対君主制なら、その君主を納得させればいい話だから、逆に話が早く進む可能性もあるんじゃないですか?」


「良ーい指摘だね、孕石。ただ、残念ながら今回は厳しいんじゃないかなっと」


 うへぇ、とタユーが再び天を仰ぐ。尋ねるまでもなく、交渉先はアレな君主らしい。




「そんなこんなで、今日明日どころか五年後十年後でも解決しなさそうな問題になってしまいましたとさ。保護された子供なんかは施設に入れるけど、元の世界でまともに復帰できるかどうか……」


 珍しく真面目な顔になる雪郷。そこら辺の常識は弁えているんだな、と安心する泰地だが、同時に彼の発言のある部分が引っ掛かった。スルーさせてもよかったのだけど、今後を考えるとはっきりさせた方がいい。


「すみません。保護する施設って、異世界人を日本に一時的でも住まわせて大丈夫なんですか?」


「あー、それね。もちろん日本じゃ無理だ。例のファ〇コンみたいなあそこに、専用の施設ってのがあるんだよ」


「……あそこ、異常に便利ですね」


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